ハイペリア式告白法

後編

翌日。
ケムセラウトから帰還した俺と光陰はレスティーナの元を訪れた。
「・・・というわけで特に問題はなかったぜ。」
光陰が報告を終える。
・・・いや、俺としては問題大有りなんですが?
とりあえず酒はやめれ。
「ところで・・・ユート、上着はどうしたんですか?」
レスティーナが首をかしげる。
そういえば今の俺は学生服姿だったな。
「あー・・・ちょっと汚れてな・・・」
昨晩の酒盛の騒ぎの中で俺の一張羅は壊滅的なダメージを受けた。
夜中に一人で洗濯していたことを思い出すと・・・なんか泣ける。
横にいるクソ坊主と自称天才様は俺のことなんか忘れて盛り上がってるし。
あぁ・・・でもイオは色っぽかったな・・・寝顔も可愛かったし。
「ユート?どうかしましたか?泣きそうになったり怒ったりニヤニヤしたり・・・」
「気持ち悪いぞ、悠人よ。」
うるさいわい・・・誰のせいだ、誰の!
「いや、まぁ色々とあってな。」
「はぁ・・・なんだかよく分からないですけど・・・」
いや、わかんなくていいです。てゆーか俺も忘れたい。
「まぁ、それはさておき報告はこんなもんかな。」

「御苦労様ですユート、コウイン。
それからキョーコから伝言があるんですが。えーと・・・
『報告が終わったら用があるので直ぐに第二詰所に来なさい。
来ないとあんた等の恥ずかしい話の一部始終を脚色交えて
スピリット達に話すわよ?』・・・以上です。」
「「脅しかよ!!」」
俺と光陰が同時に叫ぶ。
「今日子のやつめ・・・何をたくらんでいる・・・?」
光陰が脂汗を流しつつ俺に聞いてくる。
「知るか。だがロクでもないことに違いない。」
どうやら昨日からの嫌な予感は当たったみたいだな。
だが逃げるわけには・・・いかないだろうな、やっぱり。
今日子に握られたあんな事やそんな事を暴露されたら・・・
隊長としての地位が地に落ちる。(すでに低空飛行だけど)
これだから腐れ縁は・・・
「ふっ・・・どうやら逃げ道はないようだな、友よ。」
「あぁ、死ぬときは一緒だ、友よ。」
覚悟を決めた俺らは第二詰所に向かう。

そんなこんなでやってきた第二詰所。
「・・・で、俺らを呼びつけた理由は何なんだ?」
光陰が今日子に尋ねる。
「いや、そんなに構える必要はないわよ?むしろ私に感謝して欲しいぐらいだし。」
今日子がニヤニヤと笑いながらこっちを見る。
「いやー悠もうまいことやってるわねー。お姉ちゃんびっくりよ。」
誰がお姉ちゃんか。俺には電撃を発射する姉をもった記憶は無い。
てゆーか話が見えないな・・・
「いやね、バレンタインの話をしたらね皆張り切っちゃってさ。
で、抜け駆けは禁止になったから皆であげようかなー、と思うわけですよ。」
「マジっすか!よくやった!感動した!さすがは今日子だな。いやぁ・・・」
「あー、うっさい。」
バリバリバリ!どかーん。
「あべしっ」
光陰が黒焦げになって倒れる。
「ほらほらポカーンとしてないで。皆待ってるわよ?
そこの席に座って座って。」
「あ、あぁ・・・」
言われるがまま席につく。
バレンタイン?チョコを俺に?皆が?
(ユート様・・・好きです。これ、受け取って下さい!)
・・・いい。うん、悪くない。てゆーか最高。
「うむ。チョコを恥らいつつ渡す女の子・・・萌え。悠人もわかってきたな。」
「いつの間に復活したんだ?てゆーか人の心を読むな。」
だが俺達は忘れてはいけなかった。
無償の奇跡は存在しないことを・・・

「それではユート様とコウイン様に心をこめてチョコレートを渡したいと思います。
司会は私、クォーリンがお送りします。」
ぱちぱちぱち。
・・・なんか違くないっすか?
チョコってのは下駄箱に入ってたりするもんじゃないか?
もしくはどこかによびだされて・・・とかさ。
「・・・おい、今日子。」
「ん?なによ?」
「なんかノリが変だぞ、これ?」
「まあね・・・でもこうでもしないと渡す機会を奪い合って戦闘になりそうだったから。
細かいことを気にしちゃ駄目よ。」
むぅ・・・そうかもしれないな。貰えるだけでも嬉しい限りだからな。
「それでは一番手。ラキオスの青い牙!アセリアです。」
「ん・・・まかせろ。」
・・・イキナリデスカ。
かつてのアセリアの料理が思い出される・・・不安だ。
いや、でもチョコだろ?溶かして固めりゃいいだけだし・・・
「ユート・・・心をこめてつくった。受け取って欲しい。
ん・・・コウインにもあげる。」
「何か俺付けたしみたいだな・・・って。えぇ!?」
俺と光陰に差し出されたそれは緑色だった。
しかも和菓子の気品ある緑じゃない。蛍光グリーンに近い。

「・・・・・」
「・・・おい、悠人よ。これがこの世界のチョコのデフォか?」
多分違う。エスペリア達が引きつった笑みを浮かべてるしな。
「・・・どうした?オルファに教えてもらいながら作ったんだ。上出来。」
オルファを見ると彼女は気まずげに目をそらした。
いや、分かってるよ。オルファ、君は悪くない。
ただ、残念なのはオルファのチョコを食べるまで
俺の身体が持たないかもしれないことだよ。
「光陰・・・こういうときはどうするべきだ?」
「そりゃ、お前・・・食うしかないだろ。」
だよな、あんなに期待した目で見られて食わないなんてできない。
「よし。せーの、でいくぞ。」
「おう・・・生きて再会しようぜ・・・」
互いに笑みを浮かべ頷きあう。・・・迷いはない。・
「せーの!ぱくっ。」
覚悟を決めて一気に食べる。
くぁwせdfrtgyhうじこlp;@:!!!
視界が暗転する・・・あ、駄目だ・・・

「・・・小さきものよ、起きるがいい。」
「ん・・・ここは?」
気が付くと俺は野原にいた。近くには川が流れている。
「目覚めたか・・・小さきものよ。」
ん、誰だ・・・ってお前は!
「サードガラハムじゃないか!いや、久しぶりだなぁ・・・」
「ふむ・・・久しいな。」
うんうん、俺がこの世界に来てからはじめて戦った龍だからな・・・
「ってアンタ死んだんじゃなかったか?」
「うむ、死んだ。バッチリと。」
ってことはだ・・・ここは・・・
「天国ってヤツですか?」
「汝らはそう呼ぶな・・・」
まじっすか!俺にはまだやるべきことがあるのに・・・
「案ずるな・・・汝は仮死状態にあるだけだ。妖精達が何とかするだろう・・・」
「そうなのか・・・ってなんだ?」
どこかから呼ばれてる気がする。
「どうやらお別れのようだな・・・小さきものよ。」
そうなのか、いきなりだな・・・
「サードガラハム・・・」
今ならわかる。こいつは悪いヤツじゃない。もっと別の出会いをしていれば・・・
「強くなるがいい・・・そして妖精たちを守るのだ・・・」
あの時も言われた言葉・・・
てゆーか、その妖精に殺されかけたんだがなー
なんだかなぁ・・・と思いつつ再び俺の意識は途絶えた。

「・・・ト様!しっかり!」
「パパー死んじゃ嫌だよー!」
「う、うん・・・?ここは?」
目を開けると皆が心配そうな顔で覗き込んでいた。
「はぁ・・・よかった・・・」
「エスペリア・・・?えーとぶっちゃけ俺死んでた?」
とりあえず聞いてみる。夢にしてはリアルだったが・・・
「死んでました、ばっちりと。」
「はい~マナの霧が立ち上ってましたから~。」
「とても綺麗でした・・・(うっとり)」
おいおい、人の死に様でうっとりしないでくれナナルゥ・・・
「そうだ・・・光陰は?」
横を見ると金色に輝く光陰と必死に蘇生魔法をかけるクォーリンがいた。
「コウイン様!しっかり!」
「待ってくれ!大将!まだアンタにゃ聞きたい事があるんだ!
・・・・・・その横にいる白い美人は誰なんだー!!!はっ!」
がばっと起きてキョロキョロとあたりを見回す光陰。
「よう、お前も生き返ったか。」
「生き返った・・・?じゃあ今のは夢じゃないのか?」
「おお、金色に光ってたぜ!危なかったな。」
洒落になんねー。

「えーと、それでは感想の方をどうぞ!」
クォーリンが聞いてくる。
いや・・・アンタも立派な司会者魂ですね。
アセリアは期待に満ちた目をしている。できれば傷つけたくは無い。
「え、えーと凄かったぞ。うん。たいしたもんだ。」
嘘は言ってない・・・これなら・・・いけるか?
「ん・・・どのくらいだ?」
また答えにくいことを・・・そうだな・・・
「ヘブンズスウォードⅤくらいかな?」
「そうか・・・(満足げ)」
うんうん、一件落着・・・か?
「(褒めてないわよね・・・あれ)さて、それでは次です。
ラキオスの仮面の忍者黒影・ファーレーンと緑のツンデレ・ニムントールです!」
どんな紹介だ・・・
「ユート様を想って作りました。どうぞ・・・」
「ニムがわざわざ手作りしたんだから!感謝して味わいなさいよね!」
二人から手渡される。今度は普通のチョコだ。よかった・・・
「あ、コウイン様もどうぞ。義理ですが。」
「コウインにも一応。はい。勿論義理よ。変な期待しないように。」
「なんか俺、またついでみたいっすね・・・」
さて、ではありがたく・・・
「うん、旨い。ありがとうファーレーン。ニムもわざわざ作ってくれてありがとうなw」
「はい・・・うれしいです。」
ファーレーンが頬を染める。うーん、彼女も普通の女の子なんだなぁ・・・可愛い。
「別に・・・褒めたってなにも出ないからね!・・・あとニムって言うな。」
「もう・・・二ムッたら少しは素直になったらどうです?」
まぁ、そこらへんがニムの可愛いとこだよな。最近分かってきたが。

「これは中々の高評価の模様です!さて、次は・・・
モットーは先制攻撃!不思議少女・ナナルゥと
ラキオスの癒し系お姉さんことハリオンです!」
あの紹介文はクォーリンが考えてるのかなぁ・・・
「愛してますユート様。はいどうぞ。」
「ぶはっ!!」
ナナルゥの余りに直接的な発言に飲んでいた水を吹いてしまう。
「あらあら~やりますね~やっぱりユート様には~
それぐらいストレートじゃないと~伝わりませんよね~
はい~お姉さんも愛してますよ~どうぞ召し上がれ~」
「コウイン様、どうでもいいですけど・・・はい。」
「あらあら~酷いですね~私は~それなりに~コウイン様も好きですよ~?」
「それなりですか・・・いや、今までの中では一番マシか・・・」
「さて!それでは感想を!」
え、えーと・・・俺まだナナルゥの発言から立ち直ってないんだが・・・
「そ、そうだな・・・ナナルゥ・・・チョコおいしかった。
その・・・なんだ、ナナルゥの気持ち嬉しいぞ。
ハリオンも流石だな。こんな旨いチョコは初めてだ。」
「おおーっと!ハリオン選手流石の高評価!
だがナナルゥ選手のインパクトには一歩及ばずか!?」
・・・クォーリン、なんかキャラ変わってないか?
「・・・む、なんかムカつく。」
「やられました・・・もっと露骨にいくべきでしたか・・・
恥じらう乙女を演出し過ぎましたね・・・不覚。」
「お姉ちゃん・・・それはちょっと・・・」

「それでは次です!第一詰所の双璧!
赤いロリっこ・オルファリルとラキオスの行かず後家・エスペリアです!
って、ええ!」
「な、な、な、なんですってー!!!どういうことですか!クォーリン!」
「し、知りません。私じゃないです。台本に書いてあるんです。ほらっ・・・」
クォーリンが隠し持っていた台本をエスペリアに見せる。
・・・クォーリンじゃないのか。じゃあ誰が考えたんだ?
「まぁまぁ・・・エスペリアお姉ちゃん。ほら、パパも待ってるし。」
オルファがなだめる。よく出来た子だ。パパ嬉しいぞー。
「こほん。そうですね。ユート様お見苦しいところを見せまして申し訳ありません。
ユート様、好きです。受け取って下さい!」
「パパー、オルファも大好きだよー。」
「ああ、ありがとう。」
「ついでにコウインにも!」
「いつもご苦労様です。」
「はいどうも。・・・オルファちゃん・・・ついでかよ・・・」
「うん、二人とも旨いな。甲乙つけがたいよ。」
「おっと!流石は料理が得意な二人高評価です!
ところでナナルゥ効果か、ストレートに好意を表現するようになりましたが・・・
そこらへんどうなんですか?解説のイオさん。」
「そうですね・・・
たしかに鈍さにかけてはエトランジェ中最高と名高いユート様です。
ストレートな告白は効果が高いでしょう。
ですがこーゆーものはインパクトも大事です。
そーゆー意味では最初にストレート告白をしたナナルゥ優位は
かわらないのではないでしょうか?
みなさんにはそれぞれ個性を出してほしいですね。」
いつからそこにいた・・・イオ。あと鈍いゆーな。

「はい。イオさんありがとうございました。それではどんどんいきます。
気高き戦士の心の影に隠れるは少女の心!ラキオスの紅の騎士・ヒミカと
嫌よ嫌よも好きのうち~素直になれないクールな女・セリアです!」
「ヒミカ~あなたの紹介文は~妙に気合はいってませんか~長いですし~」
「てゆーか、私の何よ!アンタでしょ、書いたの!」
ハリオンとセリアが文句を言う。
・・・そうか犯人はヒミカか。
「ユート様・・・前からずっと慕っておりました。これ・・・一生懸命作りました。」
「・・・義理よ?隊長だから、その一応感謝とか敬意とか・・・」
「あぁ・・・ありがとう二人とも。」
「あ、コウイン様にもありますよ。義理が。」
「義理。それ以上でもそれ以下でもないです。」
「・・・義理でも味は変わらんよな・・・いや、少ししょっぱいかな、ははっ・・・」
「さて、判定は・・・どっち?」
クォーリン・・・実に楽しそうだな。というかそんなキャラだったか・・・
「あー、ヒミカって料理旨いんだな。知らなかったよ。
今度なんか食わしてくれよ。得意料理でもさ・・・
セリアもありがとうな・・・おいしかったよ。」
「おーっと!これまた高評価。ラキオスのスピリットは化け物か?
こうなってくると先程の解説にも会ったようにインパクトが重要になりそうですね。」
インパクトならアセリアが一番だがなー。

「では次。戦場を駆ける黒き旋風!侍娘ウルカと
二人はいつも一緒!蒼き双剣ネリシア姉妹です!」
アセリアを超える(かもしれない)人たちキターーーー!!!
(心せよ・・・契約者よ・・・汝の力が試される・・・)
うるさいよ。あ、お前さ俺と代わってみるか?
(・・・どうせなら『献身』の主か『大樹』の主がいい。)
わがままさんだな・・・気持ちわかるけども。
「ユート殿、手前も日頃の恩を返す為作ってみました。
未熟ですが貰っていただけるなら幸いです。」
ピンク色?ありえなーい。ウルカ・・・恩を仇で返す気か・・・
いや、わかってるよ。わかってるさ。悪気は無いんだろ?
だから困るんですよー!無下に出来ん!
「ネリー達のはね、凄いよ?ボリューム満点なんだから!」
「・・・凄いよ?」
うむ。凄い。なにやらチョコの大海に何かが沈んでいる。
えーと、何入れたんですか?チョコも固まっていませんよ?
「あ、コウイン殿もどうぞ。」
「はい、どうぞ。義理だよ?」
「・・・義理だよ?」
「ネリーたんにシアーたん・・・繰り返しで言わんでも・・・」
さて・・・どちらからいくか?
「よし・・・ウルカからだ。ええい、ままよ!」
ざsxdcfvgbhんjmk、l。・;:¥!!!
・・・・・・

「父さん、母さん!佳織は俺が守る!だから安心してくれ!
・・・はっ?」
頭がくらくらする。どうやらまたアッチの世界にいったらしい。
「コウイン様ーカムバァーック!寝たら駄目です!死んじゃいます。
あぁ!マナが!マナがー。リヴァイブ!リヴァイブ!リヴァイブー!」
あっちも大変だなぁ・・・
ふう・・・残るはネリー達のか・・・
「とりあえず一口・・・」
チョコまみれのなんかを食べる。
・・・これは!
「う、う・・・・・・うまいじゃん。普通に。てゆーか食える。」
凄い甘いけどな。どーやらお菓子やらフルーツやらがドサドサ入ってるらしい。
「ネリー達のね好きなものをいれたんだよ?」
「・・・だよ?」
成程・・・ネリー達らしいというか何と言うか。よかったよ普通に食えて。
「ふぅ・・・よかった蘇生成功。で・・・感想は?」
「大変だな・・・クォーリンも。
あーウルカのも凄かった。これからも精進してください。
期待してます。(いや、本当に頼む。)
ネリー達のは正直だめかと思ったら普通にうまかった。うん。」
よし、あとは今日子とヘリオンそれにクォーリン、イオか?
なんとか切り抜けられそうだな・・・

「ここで!ゲストです!ラキオス市民代表。レムリアさんです!」
「やっほー。ユート君。元気してた?」
は!?
「レ、レス・・・じゃない、レムリア・・・何でここに?」
予想外だ。やばい人がもう一人来た。
「だって・・・私もユート君好きだから・・・参加したいなー、なんて。」
「悠・・・あんた街の娘まで手をだしてたの?」
「やるなぁ・・・おい、俺にも紹介しろよ。」
いや、知ってる人だから。
「じゃ、これ食べて。愛情満点だから!あ、ユート君のお友達にもあげる。」
「ふっ・・・こうまで義理だといっそ清清しいな。」
期待を裏切らないそのチョコは紫色。・・・鮮やかだなー(遠い目)
くそっ、もうやけくそだ!食ってやるさ!
・・・・・・・
「はぁはぁ・・・いや、俺もう涙でそうな位嬉しいっすよ。いや、ホント。」
終わった・・・今度こそヤバイのは終わりだろ。
「ホント?ユート君お嫁に貰ってくれる?」
「あー、考えておきます・・・」
料理は俺が担当だな。もしそうなったら・・・

「レムリアさんありがとうございました!
(あれってレスティーナ女王じゃないの?でも誰もツッコまないし・・・)
さて・・・次は・・・あ、私だ。
えーと、元マロリガン稲妻部隊所属クォーリンと同じくキョーコ様です!」
「やっと真打の登場ね。」
「「でもお前のチョコは毎年食ってるからなー。」」
レアリティが低いよな。インパクトってもんが・・・
「なんか言った?」
今日子の全身から紫の雷がほとばしる。
「「いや何も。うれしいなわーい。」」
「よし!これでも助けてくれたことに感謝して心こめたのよ?」
「ふむ、では貰おうか。」
「まぁ毎年貰ってるから安心できることは確かだよな。」
とりあえずヤバイ出来ではないからな。
「あ、あのコウイン様!私のも貰ってください!」
「お、おう。」
「あ、ユート様もどうぞ。」
「お、サンキュ。」
クォーリンのチョコをかじる。
「あ、あのそれでコウイン様・・・私、前からずっと好きでした!」

言った。ついに言った。
隣のキョーコ様はどう思ってるのだろう?
コウイン様はどう思うのかしら?
やっぱり駄目かしら?
「・・・・・・」
「あ、あれ?コウイン様?」
「・・・・・・」
「ねぇ・・・クォーリン?あなたひょっとして料理駄目?」
キョーコ様が聞いてくる。
「えーと、その・・・マロリガンでは戦闘訓練ばかりでしたから・・・
その・・・あんまり・・・」
そうこう言ってるうちにコウイン様とユート様から金色のマナが立ち上る。
「きゃー。コウイン様、死んじゃ駄目です!あーん、なんでこーなるのー。」
「クォーリンって何でも出来そうなのに料理駄目なのね・・・」
「美人で~仕事の出来るいい女~でも料理だけは駄目ですか~」
「ありがちですね・・・コレが萌えというものでしょうか?」
「ハリオンにナナルゥ!無駄話してないの!ほら治癒魔法かけて!」

「・・・ふぅ。まさかクォーリンが料理駄目だとはな・・・」
「・・・って、お前知らなかったのか?」
「いや、そーいやマロリガンでも料理はしてなかったなー、と。」
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
「いや、誰にだって苦手なもんぐらいあるさ、なぁ光陰。」
「あぁ、そうだぜ。気にするこたーないぞ、うん。
欠点があるぐらいがむしろいいんだぞ?」
「むしろ萌え~ですか~?」
「お、わかってるじゃないか・・・ハリオン。その通りだ。」
・・・これは結局よかったのでしょうか?
なんだかコウイン様にはウケたみたいですが・・・
結局告白は聞こえてなかったみたいだし・・・
「ねぇ・・・クォーリン?あんた、あの馬鹿が好きなの?」
う・・・キョーコ様にはしっかり聞こえたみたいだし。(そりゃそうよね。)
「はい・・・好きです。その・・・お二人が付き合ってるのは知っているんですが・・・」
「あー、それはあんまり気にしなくてもいいわ。
正直言うとね私、今までは自分の気持ちよく分かんなかったんだ。
光陰に対する好きと悠に対する好きがどう違うのかさ・・・
だから光陰との関係も実は全然進展してないのよね、これが。
でも今日わかったわ。悠が皆に告白されてもあまり気になんなかったけどさ・・・
光陰に告白された時は・・・ちょっと悔しかったかな。
だから、勝負はまだ始まったばかりよ?多分。
正々堂々いきましょ?恨みっこなしでさ。」
・・・やっぱりキョーコ様は凄い人だ。逆の立場ならきっとこうは言えない。
敵わないなー。でも・・・それでも諦められない。結果がキチンと出るまでは・・・
「はい・・・こちらこそ。負けませんから!」
がっしりと握手をする。

「はぁ~青春ですね~」
「若いって事はいいことです。」
「あんただって若いでしょ・・・ナナルゥ。」

「えーと、これで終わりだっけ?」
「イオさんは~作ってないんですか~?」
「作ろうとしたんですけど・・・昨日いつのまにか寝てしまって・・・」
「じゃあ、終わりかしら?誰かいないような・・・」
「まだです~終わっちゃ駄目です~。」
隣の部屋からヘリオンの声が聞こえる。
そういや、ヘリオンがまだだったな・・・
ところでなんで隣の部屋から声がするんだ?
「さっきまでこの部屋にいたわよね?」
たったった。
「おまたせ!」
扉を開けて登場したのは・・・今日子。
「ん?なんだお前まで隣の部屋で何してた・・・ってなんでメイド服?」
「ふっふっふ・・・それはね・・・見て驚け!ヘリオン出番よ!」
今日子に続いて部屋に入ってくるのは・・・ヘリオン。
だが、いつもの姿ではない。今日子の制服を着ている。
「ちょっと大きめの制服に身を包んだヘリオンたんキター!!!」
光陰が咆哮する。
「いやね、上着着てないアンタを見て思いついたわけよ。
制服だって。インパクト充分。最強ね!」
「あ、あの・・・変じゃないですか?」

変じゃないです。・・・凄いいいです。
「あのユート先輩・・・これ受け取って下さい!
ずっと前から好きでした!」
おいおい・・・今日子よ。これは反則じゃないか?
光陰なんかあっちで鼻血ふいて倒れてるぞ?
「あぁ・・・ありがとう。嬉しいよ。」
だが・・・今日子よ・・・コレだけは言わねばなるまい。
             G J ! 
我が人生に悔いはないかもしれん。
・・・光陰に毒されたかな、俺も・・・

「いや~負けましたね~」
「そうですね・・・今回は。」
「残念だったわねナナルゥ。いい感じだったのに。」
「次は負けません・・・ヒミカ達だって諦めてないのでしょう?」
「いや、それはそうなんだけどね。」
「はい~ヘタレのユート様は~そう簡単に答えをだせないでしょうから~」

こうして一つの戦いは終わった。
ラキオススピリット隊では今後しばらく制服が流行ったとか。
光陰の協力のもと様々なハイペリアの衣装が投入されたというが・・・
それはまた別の物語である。

ようやく終わる