地主様

まだ昼間だというのに、曇天のためか窓から漏れる日は少なく、
ただでさえ普段から暗い王宮内部はエーテルの明かりのみの光しかないため
普段からある重苦しい雰囲気をさらに際立たせていた。
王座にはこの国の王、ラキオス国王が王座でたった一人、ある人物の到着を待っていた。

そこに・・・歳は35~45だろうか、眼鏡をかけた男が入ってきた。
体は細めだが、体にはしっかりと筋肉がついており、服装が胸元をはだけさせていた。
この奇妙な風貌から、彼が一体何者なのか、想像するのは難しい。
王の前だというのに、その口には下品な笑みがこぼれ、王を敬い尊敬する気持ちなど、微塵も感じさせなかった。
そして、玉座の前までくると、その男は跪いた。

ソ「ソーマ・ル・ソーマ、と申します。本日からラキオス・スピリット隊の戦術指南役として配属されました」

王「ふむ・・・楽にしてよいぞ」

ソーマ、と名乗った男は伏せていた顔を上げ、王を見据えた。
王もまた、その視線を受け止めた。

この男の呼ばれた理由はスピリット隊を今後始まるであろう、国の存亡を賭けた戦いに向けてスピリット隊をより強固にすることであったが、
ソーマのやり方はあまりにも非人道的であったため、議会では否定されたのだが・・・
王は議会をむりやり押さえつけ、この男を呼んだのである。

ザァ・・・

外ではついに雨が降り出した。かなりの大雨なのだろうか、雨音が王宮内にまで響いていた。
雨音だけが聞こえる中でしばしの沈黙の後、先に口を開いたのはソーマであった。

ソ「ククッ、王様、私にスピリット隊の全権を与えてくださる・・・とお聞きしたのですが?」

王「無論、そのつもりだ。」

ソ「ありがとうございます王様。いやぁ、私に任せておけばラキオスのスピリット隊は北方一になるでしょう・・・」

王「しかし、条件が一つだけある」

ソ「えぇ、なんなりとお申し付けください」

王「今後、我ら二人っきりになったときは・・・わしのことを『お兄ちゃん』と呼ぶように」

ピカッ・・・ドンッ!!!!
かなり近くで雷が落ちたのだろうか、一瞬の閃光と爆音が鳴り響いた。
その衝撃に驚いたのか、それとも王の発言に驚いたのか、ソーマは動けないでいた。

ソ「え・・・」

王「一目見て貴様が気に入ったのだよ!!なんなら『おにいたま』でもかまわんぞ!ハーハッハッハ!」

こうして・・・この二人の間に、秘密の確約が持たれた。
ソーマがラキオスを裏切りるその日まで、彼らの兄弟関係は続いたと言う。

レ「え・・・お父様が痔ですって!?」