なつまつり

ユ「う゛ぁ゛~、最近暑くなったなぁ」
ネ「ユートさまは暑いの嫌いなの?」
ユ「ん、暑いの自体は嫌だけど、夏は好きだぞ。イベントが多いからな」
シ「いべんと?」
ユ「やっぱりまずは夏休み…っと長期休暇のことな。んで海とか山とか、後はお祭りとかな」
ネ「…オマツリって何?」
ユ「は?お祭りを知らないって…もしかしてこっちには祭りが無いのか?」
シ「ん、分かんないです。ユートさま教えてー?」
ユ(仮に有ったとしてもスピリットには関係の無い話だからかな)「よし、じゃぁ地元の祭りでも話すか」
ネ「わーい!わくわく」
ユ「わくわくするような話じゃないんだけどな。まぁいいか。
 で、俺の地元では一年に一週間だけ、神社の境内に屋台をならべたり、お神楽をしたり~」
ネ「…?」
ユ「~だけど、6年に一度だけ神様が別の神社にお引越しをするから、大名行列を作ってだな~」
シ「…?」
ユ「ごめん。全然分からないよな?」
ネ&シ「うん」
ユ「はぁ、ネリー達には喧嘩神輿とか阿波踊りとかの方が分かりやすいかもな」
ネ「何それ?おいしいの?」
ユ「食べ物じゃないぞ…。喧嘩神輿っていうのは、神輿―あぁ、神輿は神様の乗り物で、
 大勢の人で抱えなきゃいけないような、大きくて重い台座みたいな奴なんだけど―
 それを勢いよくぶつけ合うんだよ」
ネ「おー。楽しそう」
シ「そ、そうかなぁ、ちょっと怖い気がするよぉ」
ユ「まぁ怖いのは確かだな。毎年怪我人が出るし。でも阿波踊りは怖くないぞ。これはだな…」

  コンコン――ガチャ
エ「失礼します。ユートさま、そろそろ…」
ユ「あぁ、サンキュ、エスペリア。ネリーシアー。俺はレスティーナの警護に行って来るから」
ネ「えー!アワオドリは?」
ユ「また今度な」――バタン
ネ「あ~あ、行っちゃった。もっとオマツリのこと聞きたかったのに」
シ「ん~、じゃぁコウインさまに聞いたらどうかな?」
ネ「コウイン~?なんかやだ~」
シ「で、でもユートさまがコウインさまは物知りだって言ってたよ?」
ネ「ふーん。ユートさまがそう言うなら聞きに行ってあげようかな」
シ「ネリーってばぁ…」
 ………
 …

ユ「ぅぁ~、ただいま」
エ「お帰りなさいませユートさま。随分とお疲れのようですね?」
ユ「あぁ。まったくレスティーナも視察をダシに遊びに行くのはもう勘弁して欲しいぞ」
エ「ですが良い気分転換になったのでは?」
ユ「そりゃレスティーナはな。つい先日も敵スピリットの侵入事件があったばかりだったし、警護の方は気が気じゃない。
 じじいども(政府高官)も一々煩いし、こんなことする位なら一日中訓練していた方がよっぽどましだって」
エ「そうですか。ではお食事の前にお風呂に入られますか?」
(…あ、なんだか今の台詞、ちょっと新妻っぽいかも。よ、よ~し!)
エ「そ、それとも、わ・た…」
ユ「先に風呂に入るよ」
エ「え?」
ユ「いや、だから先に風呂にしようかなって…」

エ「そうですか!そうですよね…。どうぞ、ごゆっくり…はぁ」
ユ「…? なんだか分からないけど、風呂に入るからな?」

ざばぁ~
ユ「ふぅ。こっちにも風呂に入る習慣があってよかった~」

?「ね、ねぇ。ユートさまお風呂に入ったみたいだよ?」
?「よし、ではこれより決行だ!」
?「ほ、ほんとにやるのぉ?」
?「当たり前でしょ!?これやるとユートさまは喜ぶって、コウインも言ってたじゃない」
?「コウインさまなんてあてにならないなんて言っていたのに…」
ゴソゴソ モゾモゾ
ユ「なんだ、誰かいるのか?」
ネ「え~い、もう行くよ!ユートさま!」
シ「ゆ、ユートさまぁ…」
ユ「うわっ!な、な、なんだお前ら!?」
シ「オマツリをしに来たんですぅ…」
ユ「は、お祭り?なんのことだ?」
ネ「いいからいいから。ユートさまは座って待ってて♪」
 思考が情報に追いつかずおたついている俺を、二人は問答無用で風呂用の丸椅子に座らせた。
ユ(あれ、何で突然地の文が?)
 俺が意味のわからないことを考えている間に、二人も椅子に座って体を洗い始めていた。

「んしょ、んしょ」
 いや、しかしこれがファンタズマゴリア流の洗い方なのだろうか?
二人は時折石鹸を直接肌にこすりつけたりなどしており、
体を洗っているというよりむしろ泡を出すことを主目的としているように見える。
「あぅ~」
 しかも体の上部(特に胸の辺り?)に泡を貯めておきたいようだが、
凹凸の少ない彼女たちの体ではいつまでも泡を留めておくことはできないようだ。
折角作った泡もすぐに、舐めるように胸からお腹へと垂れ、下のデルタ地帯へと溜まってゆく。
…意図したわけではないのだろうが、その様は下手に見せるよりもよほどエロチックだ。
「…んで、ただ一緒に風呂に入りたかったのか?」
 このまま見続けるのは性心上とても宜しくない。というか目覚めてしまいそうなので、
状況を変えるべく水を向けたが、より悪い状況へと加速していった。
「ん~違うよ。お祭りをしにきたって言ったじゃない。あぁもういいや!じゃぁシアー、いくよぉ!」
「う、うん!ユートさま!」
 ネリーの合図で、二人が突然飛びついて体をこすりつけてきたのだ。
「おわぁ!」
 こんなところでも性格の違いが出るのか、ネリーは俺の背中を、体を大きく動かして大胆にこすりつけ、
シアーは俺の腕を取って丁寧に体をこすりつけてゆく。
ただ、どちらも肉付きが良いとはいえない上に、運動に適した体作りをしているだけあって、
その感触にはやはり硬さがある。
しかし、微かな胸のふくらみや、女性特有の皮下脂肪のもたらす微妙な柔らかさが、
所々感じる硬さに対するアクセントとなって、飽きることの無い刺激を与え続けててくれる。
そしてなにより、成熟しきっていない少女特有のきめ細かな肌触りが石鹸の滑りに助長され、
“シルクのような”などという陳腐な修辞では語り尽くせない甘美な触感となって脳髄を襲う。

 とはいえ、俺にゆっくり堪能できるほど余裕があるわけも無く…
「ちょ、ちょっと、あぅっ!やめろって!ぉぉっ!?いったい何の真似だ!?」
「何って、だからユートさまが言っていたお祭りだよ。ほら、そのアワオドリってやつ?」
「泡踊り!?」
「ぁ、ぁの、なにか違うのかな?」
「ち、違うっ!いや、違わないけど、でも違うっ!っていうかこんなこと誰に聞いた!?」
「コウイン」「コウインさま」
 あの色ボケロリ坊主ー!
「あのな、いいか二人とも」
 と、俺は二人の攻撃が止んだ隙に二人の方を向く…のは大変危険なので、そのまま背中で語りかけることにする。 
「アホ坊主が何を言ったか知らないけど、俺が言いたかった祭りはこれじゃないし、
それにこういうことはその…好きな人同士でやるものだから、軽々しくやっちゃ駄目だ。分かったか?」
 努めて冷静に話してはいるものの、実際分かってくれないと困る。正直理性はデッドゾーンぎりぎり一杯だ。
「…ネリーたちはユートさまのこと好きだよ?」
「あ、あのぉ、それならユートさまがシアーたちのこと嫌いだから、駄目なんですかぁ?グスッ」
「いや、待て!そんな事は無い!俺もお前達のことは好きだぞ!」
(…あ、やべっ)
「ホント!?じゃぁ続けてもいいよね?」
(やっぱりそうきたか!) 
 なんと言うか、王を守るために持ち駒を使って、逆に身動きが取れなくなった状況だ。
ふと二人のほうを見ると、ネリーは期待に顔を輝かせ、
シアーは捨てられた仔犬のような、すがるような視線を送ってきている。そんな顔をされたら…
「…あぁ、いいよ」
(ほら詰んだじゃないか!)

「わーい」「わ~い」
 そして攻撃は再開された。今度はシアーが背中の左側を、ネリーが右側を分担するようだ。
こうなってはしょうがない。ここは娘と戯れる父の心境で、邪心を排すればいいんだ。
すべすべのお腹とか、ふにふにの胸とかは考えないようにすればいいだけだ。
(胸とか…)―ふにふに
(胸とか………)―ふにふに
「…ひょっとしてシアーの方が胸大きいか?」
「!!」
 あ、ネリーの動きが止まった。
「ユートさまのバカ!た、確かにお胸はネリーの方がちょっとだけ負けているけど、ほんのちょっとだからね!」
「うんうん。わかってるって」
「う~!それに、背だったらネリーの方が高いんだから!…少しだけど」
 結構気にしていたのだろうか、必死になって弁明するネリーだが、
背が高いっていうことは、相対的にもっと胸が小さいってことだよな。
ま、指摘するのも可哀想なので、適当にお茶を濁しておくことにする。
「そうだったのか?そうかぁネリーはすごいなぁ」
「むっか~!いいもん!ユートさまがそういう態度なら、
意地でも「ネリーの方が気持ちよかった」って言わせてやるんだから!」
 何が気に入らなかったのか、そう宣言すると同時に、今まで以上に体を密着させ、大きくグラインドしはじめた。
ただ胸のことを言われたからか、上体を起こして、あまり胸があたらないように、体の下半分をこすりつけてくる。
おかげで腰のあたりに、なんだかぷにぷにしたものが当たっているような…
いやいや、今の俺は明鏡止水。気にしない気にしない。
(…ホントだぞ?)
「ネリーだけずるいよぉ。シアーもユートさまに誉めてもらうんだから!」

 うれし…もとい、厄介なことにシアーも負けじと攻撃を強化し始めた。
僅かな差とはいえ、自分のアドバンテージを有効利用するつもりなのだろう、
ネリーとは対照的に前傾姿勢になって、より体重をかけるように密着する。
若干ネリーよりも柔らかい肌の感触に加えて、首筋辺りに頬擦りしながら熱い吐息をかけてくる凶悪な攻撃に、
宅の息子ももう大変なことに!
(でも我慢!がんばれ理性!)
……

「はぁ、はぁ」「ん~、ふぅ」
 初めこそぐしゅっぐしゅっ、っと石鹸の泡が肌に押しつぶされる音が派手に響いていたが、
今は石鹸がもう落ちたり乾いたりしたためか、水音よりも荒い吐息の方が目立つようになってきた。もう頃合だろう。
「あの~二人とも?もういいよ。サンキュ、気持ちよかった」
「はぁ、はぁ、でもまだ前を洗っていないよ?」
「あ~、前は色々問題があるからやらなくていいや。じゃぁ体を流して出ようか?」
「ん~、んっ、ふっ」
 しかし何故か二人ともこすりつけるのを止めようとしない。
「お、おい、もういいって!」
「だ、だって、止まらないんだもん!」「シアーもぉ。なんだかもどかしいの」
 そこで俺ははじめて二人の変化に気がついた。ネリーの下半身がこすりつけられている腰のあたりには、
なんだかぬるぬるしたものが感じられ、シアーが胸を押し付けているところには柔らかいだけではなく、
コリコリとした二つの突起の感触があった。
「ねぇ、ユートさまぁ。お胸とお股がなんだか切ないよぉ。ネリー達どうしちゃったのぉ?」
(………ぷつん)
「…わかった。じゃぁ俺が教えてあげるから、今度は前の方を洗ってもらえるかな?」

「え?前も洗っていいの?」
「ああ。お願いしようかな…」
「わーい」「わ~い」


その頃のエスペリア

(ユートさま…遅い!このままではお料理が冷めてしまう。うん、それはよくないですよね?)
(だからちょっと覗きに…ではなく、お食事の準備が出来た事を伝えにいかないといけないと)
(別にやましいことはないし、ごく自然なこと…ですよね?)

クドクドと自分を説得中。