鮮やかな午後

(あ~・・・暖かいですねぇ・・・。)
 うららかな昼下がり。
 緑さざめく公園で、少し一休み。
 頬を撫でるそよ風が、心地良い。
 『・・・あ~、嬢ちゃん。スピリットだからって差別する訳じゃないんだが・・・ウチも
商売でやってるんでね、働きの悪いもんは、辞めて貰うしかないんだわ。』
 親方の言葉を思い出す。
 どうも私は、人間の仕事に向いていないらしい。
 (これで6件目か~・・・・でも・・・・。)
 勿論私だって、落ち込んでいるのだけれど。
 ・・・それが少し嬉しいのだと言ったら、皆は笑うだろうか・・・・。

 軍に残れば、パンと寝床には不自由しなかったんでしょうけどね。
 何故かクスクスと笑いが零れる私の目の前に、コロコロと転がってくるボールが1個。
 「あ、お姉ちゃん、ごめんなさ~い。」
 手渡してやると、女の子はにっこりと笑ってお礼を言った。
 すると、自然と私も笑顔になった。
 ・・・あの子、ちょっとオルファに似てたかな?
 
 今日は、ホントに良い天気だ。
 駆け回る子供たちを眺めていたら、やっとヒミカがやって来た。
 「ごめんなさい、午前中で仕事が終わらなくて・・・。」
 「いいえ、わざわざ来て貰ってすみません。」
 「そんな、別にいいのよ。・・・でもナナルゥ、失業したって割には明るい顔してるわね。」
 「そうですか?・・・まぁ、世の中平和ですし。」

 ヒミカは呆れているが、何だか少しだけ嬉しそうに見えた。
 今日も世界はとっても鮮やかだ。
 明日も、やりたい事がたくさんある・・・。