「セ、セリアさん、宜しければこの後食事でも・・・。」
「生憎だけど、スケジュールがびっしり詰まっているの。・・・他をあたって下さらない?」
身の程知らずな軟弱男を振り切り、風を切って歩く。
確かに侵略者達の脅威は去り、ファンタズマゴリアは平和になった。
しかし、ガロ・リキュアは内実、大きな変動の時を迎えていた。
エーテル産業が壊滅した今、新旧の勢力図は大きく塗り替えられようとしている。
情勢は刻々と変化し、一分一秒だって無駄にする訳には行かないのだ。
それだと言うのに・・・。
隠れ妖精趣味の連中が日の目を見る事になったせいかどうか。
所構わず求愛して来る、先程の様な手合いが本当に増えた。
その相手をする為だけに、どれだけの時間が浪費された事か・・・。
第一、私の理想は高いのだ。
私より強いのは当然として・・・。
行動力があって、意思が強く、決して諦めない。
少し甘ちゃんで、流され易い所はあるけど、優しくて、何だか憎めなくて・・・。
鈍感で、へたれで、おまけにシスコンだけど、一緒にいると勇気をくれる。
そんな・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
いつから私は、そんな趣味になったのだろう?
何故か零れて来た涙を拭いて、辺りを見回す。
誰にも、見られなかったでしょうね・・・?
そして、再び私は歩き始める。それが、私にふさわしい筈だから。