腹黒度チェック

「わたしは腹黒じゃありませんっ! そうですよね、ユート様?」
「あ、あぁ…とりあえず、『月光』はどけてくれ」
これまでも何度かあったことではあるが、「ファーレーンはどこに黒スピリットの特徴が出ているのか」議論が沸き起こったのだ。いいかげんファーレーンも軽く流せばいいのにと悠人は思うのだが、意固地になって反論するのでこうしてしばしば話題にされてつつかれる。
ふと、悠人の頭に豆電球が浮かんでピカッと光った。たとえファンタズマゴリアにいても、やはりハイペリア人としては閃きのエフェクトはこれしかない。まだハイペリアにいたときに、小鳥と今日子に何やら怪しげな診断テストをやらされたのを思い出したのだ。
「よし、じゃあ、診断テストをやってみよう」

ということで、今日子と光陰の協力で腹黒度診断テストが製作された。というか悠人は何もしていない。ただ診断結果が穏当になるようにリクエストしただけだ。


こうして作られた診断テストを前に、ファーレーンの表情は緊張を帯びていた。
なんとしても汚名返上しなくては。いや、濡れ衣を晴らさなくては。
えぇと、第一問は…
  Q1: テストであなたは好成績を残さなくてなりませんが自信がありません。
うーん、そうですねぇ…ユートさまにお願いする、かしら。
  A1: 教官に袖の下を送る

(中略)

  Q10: あなたは自分が腹黒いと思いますか?
  A10: そう思わないけど、そう言われる

そして…今日子から結果発表。

  >腹黒度チェック>結果
  あなたの【腹黒度】がどれくらいかを診断してみました。
  あなたの【腹黒さ】はこんな感じ!
  あなたの腹黒度は凡人レベル、【人の不幸は蜜の味】です。
    魂の黒さ  88%
    心の黒さ  100%
    ルックスの黒さ  82%
    輝く白さ  24%


「なーんだ、凡人レベルじゃないか」
予定調和でそう言って悠人はファーレーンの方へ振り向いたが。
「あぁっ、ファーレーンが真っ白に…もとい真っ黒に燃え尽きている!? ファーレーン、しっかりしろっ! って、あぁっ、ウィングハイロゥが黒く!?」

( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )
「魂の黒さが88%も…」
「心の黒さが100%ですって…」

しまったーっ、数値の方まで気にしてなかったーっ!!

かろうじてハイロゥも白く戻り、無事だったファーレーンだが。次のファーレーンが食事当番の日。テーブルの上を見て一同は愕然とした。
どの品も誰かしらの嫌いなものでかつニムントールの好物というチョイス。焼き物は中心部に焦げ目が。黒っぽいソースが真ん中辺りにかけられているものも。
((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル
ちなみに、リクェムはなかった。
  Q7: 母親と恋人と自分。一人しか助からないとすれば?
  A7: 恋人を助ける

その晩のこと。悠人は水を飲んで戻る途中で、ファーレーンの部屋からニムントールの声が聞こえることに気づいた。
「まったくもぅ、世話が焼けるんだから」
ニムントールが何やらぶつぶつ言ってるが、ファーレーンの声はしないので眠っているのだろう。
こんな夜中に何をしてるんだ? そう思って悠人が覗いてみると…
ベッドで眠っているファーレーンの服の裾をまくってそのお腹に何やら白い粉を擦り付けているニムントールの姿があった。
(『腹黒』ってそういう意味じゃないぞ、ニム)
ツッコミを心の中だけに留めて、悠人は静かに立ち去るのだった。


参照URL:あなたの腹黒度チェック