ファンタズマゴリアでは秋の行事なのです

「というわけで~健康診断の季節がやってきましたよ~」
 唐突だがハリオンの言うとおりである。他国に比べて、スピリットの福利厚生に力を入れ
ているこのラキオスでは、毎年秋に全隊員の健康診断及び身体測定を行っているのだ。
「あーなんというか、各自速やかに各測定や検査を消化していって欲しい。えー全部終了後、
俺の所に提出してくれ」
「えっあ、あのユートさまに見せるんですか」
「冗談じゃないわ、私たちにだってプライバシーがあります」
「いやっ決して見ないぞ。ほ、ほらこの封筒に入れて出してくれればいいから。な?これなら
見えないから大丈夫だって。このままヨーティアに渡すから」
 皆のじと目に怪しさ爆発で弁解する悠人。でも、後で透かして見えないかなとか思っている。
とりあえず光陰を拘束するため、今日子と供に詰め所を出て行った。

 今回は、第二詰め所食堂にて執り行われることとなったのだが、一部の者にとっては、アン
ニュイな行事である。

「あう~全然成長してないですよぅ~」
「くっ、シアー侮れないわ。脅かす芽は早めに摘まなくては」
「このままでは、ニムが私の前に立つことになってしまいます。前に立つと言うことは敵ですね」

 なんだか物騒なセリフをのたまう赤髪・覆面の人も居たりするがおおむね順調に進んでいった。

「ハリオン、いくつだった?」
 ヒミカがハリオンに尋ねる。敗北感に浸るだけなのは分かっているのに聞かざるおえないこ
の哀しい性。惜しげもなく測定票を見せるハリオン。

「…………ラキオスの緑の奴は化け物か」
「わたしもちっちゃいですけど、お、大きくなりたいです。ハリオンさん何か秘訣とか無いん
ですかっ!」
「もってなに。『も』って」
 疑義はスルーされ、皆耳をエヒグゥのようにしてハリオンの言葉に聞き入る。
「ふふ~一つ良いこと教えますよ~胸が無いならお菓子を食べれば良いんですよ~」
 衝撃だった。ブルジョワだった。そう言えばシアーもお菓子が大好きだった。真理は意外な
ところに潜んでいるのだった。

             

「なによこれっ! ちょっと検尿って何よっ!、これもユートさまに提出しろってのっ?」
 羞恥プレイも潜んでいた。