「おい、悠人、ちょっと来てくれ。ハリオンとヒミカのヨフアル屋台が大変なんだ」
「大変って、あの二人に限って食中毒やら何やらが起こるわけ無いだろ」
「いやいや、そう言うんじゃなくってな。屋台荒らしが出現したって大騒ぎだ」
「……」
「さっきから、チャイナドレスに身を包んだ可憐な美少女が商品を全部食い尽くす勢いでな」
「……それで」
「それに対抗して、ハリオンが『食い倒れさせてあげますよ~』とばかりに材料の追加購入を始めた。
今はネリーちゃんやシアーちゃんが小麦粉や卵を運んでる最中だ」
「って事は、調理人もヒミカとハリオンだけじゃ足りないんだよな」
「ああ、とてもじゃないが追いつかねぇ。俺たちでもネリーちゃんと一緒に材料を運んだり、
ヘリオンちゃんと一緒にヨフアルのタネを混ぜたりするのは出来るだろ。な、さっさと行こうぜ」
「そうだな。それに……ヨフアルが切れたら大変だ。客が満足して無いのに売り切れなんて、な」
「お、おう。確かにそうだが……悠人、その客に心当たりでも有るのか?」
「うん?さあ、どうかな。とりあえず、せっかく屋台を楽しみに来てくれた人がいるんならこっちも精一杯もてなさないと」
「よし、急ぐぞ悠人。ぼやぼやしてたらシアーちゃんたちの手伝いが出来なくなっちまう」
「ああ。俺も、ハリオンの意見に賛成だ。もう食えないってくらいまでご馳走してやろう」