ツンデレ等

後に数々の名作を生み出したヒミカにも苦悩の日々は存在した
名作の下には無数の駄作が積み重なって出来た物である事はあまり知られていない
そして全く筆が進まなくなってから数日が経った頃…

1.朝
寝ぼけ眼をこすりながら居間に下りると、炬燵の中から黄金の光が出てる
何かと思い布団をはぐって見ると、そこには体中からマナの霧が立ち込めてる人影が…
「%&$#@=~~~~~~~~~~~~!!!!!」
第二詰め所の清々しい朝に、甲高い悲鳴が木霊する。
悲鳴を聞きつけた仲間たちが続々と居間に集まってくる
もちろん、炬燵の中で酸欠になって死にそうな緑スピなどといった、うっかり者など存在していよ

うはずが………

2.昼前
買出しに出かけたら今日子に会った。ネタが無い事を相談してみると、ハイペリアのお話をいくつか聞かせてくれた。
一緒にヨフアルを食べてたヘリオンを光陰が口説く。
話し掛けてる途中で雷撃が光陰を直撃。だが見事に威力を半減させている。右半分だけ黒焦げになってるのにまだ生きてる。中々しぶとい奴だ
側から見ればお似合いの二人なのだが今日子の方はあまり自覚して無いらしい?

3.昼過ぎ
訓練時、ヨフアルがユートを連れてひょっこりやってきた。
ネリーとシアーは剣を投げ出してかぶりつきに行く。ニムントールは飽きれた顔でそれを見る。
ユートが一緒に食うか?と彼女を誘うと
「ホントは食べなくても良いんだけどアンタが食べて欲しそうにしてるから食べるんだからね!」
うれしい時はうなじのあたりの髪がひょこひょこ上下する事に気付いていないらしい

4.夜
机に向かって筆を走らせる。
うむ、中々順調に書けるではないか。
カリカリ……カリカリ…………………ガリッ
……気になって天井へ向かって声をかける。
「そこで何をやってるの?ナナルゥ…」
天井裏から引っ掻くような音がしたが、程なくして気配はすぅっと消えた
再度、机に向かうと…そこには紙束が置いてあった。タイトルは無い。
彼女の仕業だなと思いつつもナナルゥ本(仮)をめくってみる。
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  ~驚愕!?スピリット隊隊長と部下の濃密な夜の過ごし方!!~

     数々の戦果を上げる彼は妖精趣味&ょぅι゙ょ趣味!?   ━━━6p
   赤い妖精は情熱的!青い妖精はCool&Beauty!緑の妖精は妖艶!━━━42p
          立てよ妖精趣味!ジーク・スピリット!!   ━━━113p
         女王様がゆく!世界一周ヨフアル食べ歩き列伝  ━━━132p

orzナンナンディスカ-
ページの半分でこれである。見た事を非常に後悔してしまった。
ゴミ箱に投げ捨てつつ、再度作業を開始する
…………………………………………………………隊長と部下の濃密な夜―
気になって全然集中できない。
やはり気になる事はとっとと処理してしまわねばなるまい
自分にそう言い聞かせながらゴミ箱から紙束を回収し、1枚…また1枚とめくり……
少し読み飛ばしてしまったか?1枚戻して…めくり…もどし…めくりめくり…もどし………

5.翌朝
「ンギュルンギュルギュッギュル!!」
オルファがまた変な生き物を拾ってきたらしい。朝食は決まりだな。徹夜したせいか思考が物騒になっている。
日の出前に一気に書き上げたが、仕上がった物は散々だった
ナナルゥ本に描いてあった、自分に似たキャラがあられもない姿で妄想煩悩全開で隊長に擦り寄る絵を見てしまっては、とても普通の思考で居られる筈が無い
とにかく、とっととこの紙を始末しなくてはならない
…ナナルゥ本はどこかに保管を…
小さ目の炎を呼び出し、赤い舌が紙を舐めていくとやがて黒い灰に全てが変わっていく。
そして最後にタイトル部分も炎に飲まれていった