「ほら二人とも。下着だけになったら食堂に降りてきてね」
エスペリアお姉ちゃんの言葉に、アセリアとセリアはうなずきました。
今日は、年に一度の”身体測定”でした。
二人は、服をんしょんしょとぬぎぬぎしたら、測定票をもって階下へと降りていきました。
セリアの票には昨年の結果が書き込まれています。もちろんアセリアのもです。
「今年こそ」
そう小さな胸に誓うセリアでした。
セリアの目算では、きっと勝っている、今年こそは。そう思っていたのです。
なのに…………
足りぬ……身長が足りぬ……
なんだか妙に低音の声が聞こえたような。気のせいでしょうか。
エスペリアの見ている前でウイングハイロウを展開なんて、ちょっと無理でしょうね。
ほんのちょこっと浮くことができれば良いだけなのにね。
だから、セリアは負けるとわかっている戦に赴かなくてはいけないのでした。うなだれて、
歩いていきます。まるで断頭台に歩いていくかのように。既にアセリアの結果は出ていますから。
「あら?セリアその髪どうしたの」
次の日、エスペリアは髪型の変わったセリアを見つけました。短い髪を無理矢理まとめて後
ろで一度持ち上げ、そこから垂れ下げていました。なんだか馬のしっぽのようですね。
「ちょっと気分転換なだけ」
セリアはなんだか顔が赤くなってしまいます。セリアの思惑なんてさすがのエスペリアだっ
てわかりそうもないのにね。でも今のままでは短すぎて用をなしてないかも…………
くいっ
「いたっ、ちょちょっとアセリアひっぱんないでって」
空間転移でもしたのかいきなり現れたアセリアがセリアの”しっぽ”を引っ張ります。そし
て呟くのです。
「これ、いい。私もしていいかセリア」
ばっと振り向いて。
「だめったらだめーー」
セリアは許すわけにはいきませんでした。
だってアセリアの髪はこのころから十分長いのですから、ね。