ねりーくるくる

「うう、げほげほっ...ガハッ!」

……何故だろう、誰かが見舞いに来るたびに病状が悪化している気がする。
おお、あれは死んだ父さん母さん。何だ?俺に向かって手を振ってるぞ。
…夢だ、これは悪い夢に違いない...。

「やっほー、ユートさま!お見舞いだよ~、生きてる~?」
ああ、天使の様な無邪気な声が聞こえる...。
「生きてるとも」と自信を持って答えてあげられなくてゴメンな、ネリー。

「死にそうな顔しちゃって。大げさなんだから~、もぅ。」
「ホントに死にそうなんだよっ!」
最後の気力を振り絞って体を起こす。
「まあまあ、病人がそんなに興奮しちゃダメだよ。あ、そうだ。これ買ってきたんだけど、食べる?」
ガサガサと紙袋を開くネリー。そのちっちゃな手には湯気の立つヨフアル。
「お、悪いな。本当に見舞いに来てくれたんだな。」
「だから最初からそう言ってるのにー!」
ぷうっとふくれる少女の顔。なんだかんだ言いながらも、ネリーのくるくる変わる表情は
見てるだけで気が安らぐから不思議なものだ。
「あはは、ごめんごめん。どうもここんとこ人間不信って言うか、スピリット不信になっちゃっててさ。」
謝りながら見舞いの品を受け取った。ほかほかのヨフアルを一口頬張ってみる。
ん?中に何か...弾力のある歯ごたえが...
味は悪くない気がするけど、何だかソースが欲しくなるな、これ。

「どお?新発売のテミ入りヨフアルだよー!」

……あ、父さん、母さん、もうすぐそっちに行けそうだよ、俺...