「お言葉ですがレスティーナさま。わたくしは反対ですっ」 
 エスペリアのあまりにも意外な言葉に、ただでさえ狭苦しいヨーティアの研究室は緊迫感に 
押し包まれた。 
 盲信しているとも言えるほどレスティーナを慕っているエスペリアが、面を冒してこのよう 
な発言をするなど、この場の誰にも考えられることではなかった。 
「エスペリア、具体的に言って下さい。この抗マナ化計画は、この世界を救い存続させるため 
には避けて通ることの出来ぬ方策なのです。そのことを理解した上で言っているのですか?」 
 さすがに驚きを隠せないものの、努めて冷静にエスペリアに反問するレスティーナ。 
 エスペリアはこの大事に対しどのような理由を告げるのだろう。皆が固唾を呑んで見守る中、 
エスペリアは言う。 
「そのようなことをされたら、マナ式全自動洗濯機が使えなくなってしまいますっ。洗濯板は疲 
れるのです。お肌も荒れますし、何枚も洗うのは骨が折れます。毎日毎日お洗濯するのは大 
変なのですよ?。それにユートさまが毎晩シーツを……お察しくださいませ。キャッ   
あ、そう言えばハイペリアには乾燥機という物もあるそうです。このところ天候不順ですし、ヨー 
ティアさまどうかお願 「エトランジェ・ユートッ!!」 
「ハッ」 
「後で私の部屋に来るように」 
「…………御意('A`)」 
その後ヨーティアには、抗マナ化のための予算が三倍付けられたとか。