緊急避難

「ごめんねお姉ちゃん、ニムが変なこと言い出さなきゃ……」
「ううんいいのよ、わたしはニムと一緒ならそれで充分」
「お姉ちゃん…………」
「ニム…………」
抱き合い、愛情を確かめるように見つめ合う二人のスピリット。緑と黒。

「浸ってるとこ申し訳ないんだが、水を掻き出すの手伝ってくれないか」
ボートの浸水を防ぎながら、エトランジェ悠人は冷静に突っ込んでいた。

 ―――――――――

「船に、乗ってみたい」
バートバルト湾を見ていたニムントールが何気なく呟いた一言が引き金だった。
それだけで、まず姉バカなファーレーンが樵の様に森の木を切り倒し始める。
たまたま運悪く通りかかった悠人は夢中になって『月光』で森林破壊を繰り返す後姿を見て、
どうしたんだ?と思わず興味本位で訊いてしまった。
そうしてきらきらの瞳でお願いしますと頼まれ、
すっかり舞い上がってしまった悠人も一緒になって『求め』を振るい始めた。

こうして一組のスピリットとエトランジェが作り出した代物(しろもの)は、
おおよそ知識の無い素人が見切り発車で作り出したものが大抵そうであるように、
意気揚々とバートバルト湾に乗り出して暫くするとその欠陥を浮き彫りにした。
つまり、沈み始めた。

船底の所々からぱしゃぱしゃと海水が溢れ出して来る。沈没は時間の問題だろう。
周りは全て海。海。海。たまに直角三角形の黒い何かが船を囲むように泳いでたりして。
「お姉ちゃん、泳げる?」
「それなりに……ニムは?」
「…………苦手」
一応の水練は積んでいるものの、実戦で使用した事はない。
海というものが極端に少ないファンタズマゴリアでは、そこが戦場になる事は無いからだ。
潮に流され、陸地との距離を目算で測っただけでも心許無いその程度。
冒頭は現実逃避を図った二人の会話である。

「ふう……これで暫くは持つか……」
額の汗を拭いながら、復旧作業を終えた悠人は一人ごちた。
海岸を遠望すると、どうやらやっと行方不明の隊長に気が付いたのか、
米粒みたいになった仲間達がこちらを指差しながら何かを叫んでいる。
どうやらヘリオンと思える人影が飛び込もうとして
多分ヒミカと思える人影に必死に取り押さえられてたりしているが、正解だろう。
これ以上犠牲者を出すのは忍びない。
というかアセリア及びブルーの面々、飛べるんだから早く助けに来て欲しい。
足元を見ると、海水が踝まで来ていた。どうやら応急処置も気休めに過ぎないらしい。
『契約者よ、錆び付いたらどうしてくれる』
船底の穴に突き刺さった『求め』が恨めしそうに呟いていた。

「そうだ!これで……」
海風に嬲られている『求め』にマストを張る事を思いついた悠人は、突然脱ぎ始めた。
「バッ、バカヘンタイッ!」
「きゃっ!ユ、ユートさま、ここじゃ……」
罵声を飛ばすニムントールと何かを勘違いしているファーレーン。
二人とも顔を手で覆いながらもしっかりと指の隙間から鋭すぎる視線を覗かせている。
「いいから二人とも、脱ぐんだっ!」
「………………#」
「………………ぽ」
端的過ぎる悠人の説明は、誤解を深めるだけだった。三人三様の沈黙が流れた。

ともあれ『求め』の刀身に、連なるように三枚の布がはためいた。
何だか鯉のぼりみたいだったが、一応は風を捉え、ボートが動き始める。
「おっ、上手く行ったみたいだぞ、二人とも」
「バカ!こっち見ないでよっ!」
「あ、あんまり見ないで下さい……」
「………………ごく」
両手で胸元を隠しながら恥ずかしそうに背中を向ける二人の肩が桜色に染まって艶かしい。
鮫(?)の数が増えたようだが間違い無く全部雄だろうと確信できた。
『…………契約者よ』
「なんだバカ剣」
『海とは、素晴らしいものだな』
「……ああ」
遠い目をしながら語り合う一人と一本。緊張感の欠片も無かった。

「……あ、あれ?」
「?どうしたの、ニム」
「なんか……遠くない?陸地」
「……本当だ」
米粒みたいだった仲間達が、一つの塊みたいになって見える。
先程よりも沖に流されているのは明らかだった。
三人の視線が『求め』に集まる。いつの間にか鯉のぼりが逆を向いていた。
「なるほど、風向きが変わって陸風になったってわけだな」
「感心してないで何とかしなさいよっ!」
「冷てっ!」
海水をぶっかけられながら、悠人は泣く泣くマスト?を下ろそうとした。

ざばぁ!
「きゃあ!」
「何?」
突然の、二人の悲鳴。
「なんだどうした!……っておわあ!」
声に驚いてそちらを見た悠人はそのまま硬直した。
それまで様子を見ていた鮫(?)の一匹が襲い掛かってきたのである。
もうしんぼうたまらんといった所だろうか、目がハートマークになっている。
何か違う気もしたが、とりあえず絶体絶命だった。
目下船底に釘付けの『求め』が無い以上、悠人は一介の高○生にすぎない。
相手は好色とはいえ、海の王者である。このままでは餌にされてしまう。正に入れ食い。海の藻屑。

「ニムはわたしが守りますっ!」
ピンチに凛々しく立ち上がったのはブラックスピリット・ファーレーン。
兜に隠れる鋭い眼光。ラキオス屈指の剣の使い手。全身から溢れる殺気。大人っぽい黒のパンツ一丁。
なるほど色の特徴がこんな所に、と変なところで悠人は感心した。
じゃなくて。
「わたしにだって戦う理由があるんですっ!」
目にも止まらぬ速さで『月光』の五連撃。少し行動回数が多い気もするが、火事場の馬鹿力のせいだろう。
悠人は見とれた。いや、眼福とさえもいえた。
両手を離したお陰で開放された両の膨らみが剣を振るうたび小刻みに揺れるのが。
その艶姿を正面から見てしまった鮫(♂)は、無抵抗でなますに刻まれつつもなんだか幸せそうだった。
悠人は今生まれて初めて真に動物と心を通わせた気がした。

さて。
既に膝まで来ている浸水を見つめながら、一同はそれぞれボートの縁に座っていた。
しかし順調に降下していくボートの浮力では、とても三人は支えきれない。
悠人はふと思いつき、言ってみた。
「ところでファーレーン……兜は重いから捨ててみないか?」
何気なく漏らした一言が、ぎくり、という擬音を大きく辺りに撒き散らす。
「…………」
「…………」
「な、なんだよ二人とも……」
「……却下」
もじもじと服を脱ぐ時より恥ずかしがっている姉の横で、ニムントールが代弁した。
「ユート、それ以上セクハラ発言したら……殺すよ?」
「何で!?」
光り出した『曙光』に、水温がぐっと低くなった。知らないほうがいい事もある。

 ―――――――――

一方その頃海岸では。
「あ、あ、あ~~ユートさまがあんな所にっ!」
すっかり動揺したエスペリアが副隊長としての義務を完全に放棄していた。
「少し落ち着いて下され、エスペリア殿」
「でもでも、どうしましょう、ああ、何故こんな事に……」
さめざめと泣き崩れるエスペリア。その慌てっぷりに、慰めるウルカの方が泣きたい位だった。
「ち、ちょっとヘリオン!」
「止めないで下さい!ユートさまが、ユートさまがぁ~~!」
「貴女一人が行ってもしょうがないでしょうが!」
あちらでは泳げもしないのに飛び込もうとしたヘリオンを羽交い絞めにしたヒミカが必死に制止している。
「全く、居ないと思ったら何をしてるんだか……」
「……意味不明。戦略的に何のメリットもありません」
「一緒にいるのはぁ~、ファーレーンさんとニムントールさんのようですねぇ~」
冷静に観察しているのはセリア、ナナルゥ、ハリオン。
「むぅ~、ずっる~いっ!」
「……ずっる~い」
「パパ達だけで楽しそうな事して~!」
遠くから見れば、大抵のものは綺麗に見える。
ネリー、シアー、オルファリルにはどうやら悠人達が楽しんでいるように見えるらしい。

「あ、脱ぎ始めた」
ぴきっ。目を細めるように遠望していたアセリアの一言が、場に静寂をもたらす。
動きの止まった面々が一斉に目を凝らすが、
最早海の点と化した悠人達がどこにいるかも良く判らない。
「アセリア、見えるの?」
「……ん」
どうやら一際目が良いらしいアセリアが、セリアにこくっと頷く。何故か不機嫌そうだった。

「アセリア、ネリー、シアー、セリア!何してるの!アイスバニッシャー!!」
いきなり復活したエスペリアの命令口調が飛ぶ。
わなわなと震えている手が持つ『献身』が陽炎のように歪んで見える。
「順番に海に向かって放ちなさいっ!早くっ!」
「わ、わわわっ!ええと、マナよ、我に従え 氷となりて……」
血走ったエスペリアに反論など出来るものではない。
反射的に返事をしたネリーが真っ先に神剣魔法を唱え始めていた。

 ―――――――――

「わ、わたしには選べません……ニムかユートさまかなんて……」
「何言ってるの!ユートなんかどうでもいいからお姉ちゃんが生き残って!」
「…………『なんか』かよ」
またもや現実逃避を始める二人。というか、誰かの犠牲確定ですか?悠人は溜息を付いた。
もう肩まで浸かってぷかぷかと浮いている三人。
その間には、どこか険悪な雰囲気が漂い始めている。
そういえばこういう時に適用される非常手段があったような。
何かを思い出しかけた悠人の耳に、空耳のような声が飛び込んできた。

――――……ッシャー

「…………?」
「何、この声」
「陸の方ですね……」
二人にも聞こえていたらしく、目を細めて海岸の方を見つめている。
つられてそちらを見てみると、白煙を上げながらもの凄い勢いで近づいてくるモノ。

――――アイスバニッシャー!アイスバニッシャー!!アイスバニッシャー!!!

「な、何あれ……」
「助け、でしょうか?」
「…………モーゼ?」
ボートと海岸を挟んで横たわる大海原。そこに、一本の道が出来つつあった。

 ―――――――――

「はあはあ……ア、アイスバニ…………ぷぎゃっ!」
連唱に力尽き、まずネリーが倒れた。というか、タイミングを誤ったシアーに踏まれた。
背中に足跡をつけたまま、ぐるぐると大きく目を回しているネリー。
「ご、ごめんねネリー……神剣よ、我が求めに……あうっ!」
続いて氷の道を造ったシアーが豪快にけつまづく。と同時に火花が走る後頭部。
飛び越えようとして失敗したセリアが思い切り膝蹴りしていた。
大きなたんこぶの周りに数匹の小鳥を飼い始めて漫画のように気絶するシアー。
「ごめんね……でもこっちも必死なのよ!」
振り返るとアセリア、そしてその後から血相をかえたエスペリアが駆けて来る。
自分が標的では無いと判っていても、絶対に敵に回したくは無かった。
「全くなんだってこんな目に……アイスバニッシャー!」
そんなセリアの直後に迫ったアセリアの冷静な一言。
「ん。紡がれる言葉、そしてマナの振動すら凍結させよ……」
「ちょっと……待ち」
「アイスバニッシャー!!」
憐れな願いは届かない。
口を半開きにしたまま道の一部と化したセリアの上を、アセリアとエスペリアが駆け抜けた。

 ―――――――――

ざわっ。
『契約者よ、このマナの膨らみは何だ』
呑気そうな『求め』の呟きを、聞くまでも無い。
既に認識出来るほどの距離に迫ったエスペリアから、強烈な迫力を感じる。
背中が鳥肌を立て、口の中が乾き始めた。思わず目を逸らす。
「なるほど、アイスバニッシャーで海を凍らせて一時的に道を造ってるんですね」
「助かるのはいいけど……なんか怒ってない?エスペリア」
何も気づいていない平和そうな二人の声。
……そう、何故か怒っている。しかも、絶対に自分にだ。
心当たりが全然思いつかないのに、悠人は直感でそう悟っていた。

そうこうしている間にも、その距離は縮まってくる。
一瞬逃げようかとも思ったが、この状況で一体どこにという絶望的な状況。
それでもとにかくどこかに逃げなくてはヤバい、そう本能が警鐘を鳴らしていた。
「ユートさまっ!そこで大人しくしていて下さいましっ!」
「――はいっ!」
しかもまるで心を見透かしたようなエスペリアの鋭い声が先制攻撃を放つ。
条件反射的に言う事を利かなくなる程硬直した体がそれを証明していた。
無理矢理捻って顔を上げると、すぐそこまで来ていたエスペリアを抱えて
ウイングハイロゥを羽ばたかせたアセリアが、ボート上空に舞い上がった所だった。

だんっ、という重い踏み込みに、沈みかけたボートが軋む。
「…………」
ズゴゴゴゴゴゴゴ――
ボートの縁に仁王立ちでこちらを見下ろすエスペリアの迫力に、三人の背筋は自動的に伸びた。
縋るようにアセリアをチラ見するが、当の本人は鮫(?)の牽制に忙しいらしい。
「……アセリア、ファーレーンとニムントールを助けてあげて下さい。
 わたくしはユートさまとお話があります」
「ん……わかった」
「あ、あのアセリアさん、俺も……」
「ユートさまはわたくしとお話があります」
「……はい」
おろおろとこちらを見ながらそっと『求め』に縛り付けられた戦闘服を解くファーレーンと
やれやれと溜息をつきながら不機嫌そうにそれを受け取るニムントール。
二人の白い肌に一瞬目を奪われた悠人は、そこではた、と気が付いた。
「さて、お話を伺わせて頂いても宜しいでしょうか?」
エスペリアが纏う、緑雷の発生理由に。

沈みかけたボートの上。悠人は正座をさせられたまま、首まで海に浸かっていた。
「大体ユートさまは隊長としての自覚が……」
伺わせて、と言っておきながら、くどくどと一方的に続くエスペリアの叱責。
半分聞き流しながら、すぐ足元まで来ている海面に悠人ははらはらしていた。
――ぱりぱりと放電しているエスペリアの体が海水に触れたら、やはり感電するのだろうか。
そんな馬鹿な疑問が頭をよぎる。いや、馬鹿なと言い切れる根拠も無い。
いくら元はマナとはいえ、エレメンタルブラストで黒焦げになった敵が思い出されてしまった。
考えただけで鳥肌が立ってきそうなので、思い切って口を挟んでみる。

「あのさエスペリア、説明は省略していい、じゃなくて続きは脱出してからに……」
「いいえ!こういう事はきちんとしませんと、皆に示しがつきませんっ!」
ぴしゃり、とエスペリアが言い放つ。勢い込んだせいでやや傾いた足元に海水が跳ねた。
見逃す筈も無い。
「………………」
瞬間火花にも似た緑の線香花火が鮮やかに輝き、ぱしっと軽く乾いた音を立てたのを。
戦慄した悠人は思わず立ち上がり――――
「うおおっ!」
「きゃっ!ユ、ユートさま……?」
とりあえず、逃げ出していた。融けかけた氷の道を。

「ど、どうしたんですか、ユートさま?……きゃぁっ!」
「ユート?ってお、お姉ちゃんを返せーーーっ!」
道の真ん中に立っていたファーレーンに、説明してる暇が無い。咄嗟に抱えて逃げ出す。
後ろでニムントールが何か言っているが、気にしない事にした。
なぜか大人しいファーレーンはもじもじしながら頬を染めてイヤイヤを繰り返している。
甚だしい誤解をしていそうだが、このままじっとしてくれていた方が助かるので放っておいた。
「うおおおおおっ」
「逃がしませんっ!『献身』よ、力を貸して、ヘタレなユートさまを懲らしめるためにこの力が必要なの」
「待てっ!その詠唱は色々と違うぞっ!」
妖しげな神剣魔法を唱えながら追いかけてくるエスペリア。膨れ上がった竜巻みたいなマナが背後に見える。
当然ながら、悠人の突っ込みなど聞いちゃいない。周囲の鮫が逃げ出した。さすがは本能に生きる野生。
「おわっ!」
通り過ぎた道の下でセリアらしき顔が見えた。お化け屋敷のトリックみたいだった。
「な、何だ?…………ってここにも?!」
続いてネリーとシアーが倒れているのに遭遇した。どちらも目に太いマジックで書かれたみたいな渦巻き。
「すまんっ!みんなっ!」
一体何があったのか、考えるだに恐ろしい。悠人はとりあえず、謝っておいた。

「ユートさま!陸地ですっ!」
嬉しそうに指を指すファーレーン。
「助かりましたよ……ユートさま?」
「あ、ああ…………」
悠人は、ファーレーンの言葉に素直に頷く事が出来なかった。
何故ならそこには思い思いにそれぞれの神剣をこね回す、ラキオス精鋭スピリット隊が立ち塞がっていたから。
前門の虎、後門の狼。
「あ…………」
よく見ると、ファーレーンも自分もまだ服を着ていない。なるほど。つつーと冷や汗が一筋、頬を流れた。
「精霊よ、全てを貫く衝撃となれ……エレメンタルブラスト!!!」
背後で非情なエスペリアの詠唱が完成した。

 ―――――――――

「それでは、最初はセリアからですね」
「どこまで開放したら致命傷にならないかしら……」
真剣に『熱病』と相談しているらしいセリア。こころなしか、その表情はうっとりとしている。
悠人はまだ少し痺れる体を首だけ残して砂に埋められたまま、うるうると涙を流していた。
「お~い…………」
「次ニムだからね、殺しちゃだめだよ」
未だぱりぱりと帯電して髪が逆立っているニムントールが『曙光』を強く握り締める。
「スイカワリ……楽しみ」
「こんなのがスイカ割りな訳あるかっ!」
少し焦げ付いたウイングハイロゥを開きっぱなしのアセリアに思わず逆ギレ気味に突っ込んでみる。
「さ、ユートさま、お覚悟は宜しいですか?」
「そうだよ~ユートさま、この距離はネリーの間・合・い♪」
「シアーだって~、やる時はやるんだからぁ~♪」
涼しい顔で黙殺するエスペリア。隣で真っ黒に日焼けしたネリーとシアーがニコニコと頷く。
……顔が笑ってねぇ。救いを求めて隣を見てみると。
「うう~ん……ユートさま……動かないでください……ずれると、とても痛いんですよ…………」
黒こげになったファーレーンが何故か幸せそうな笑みを浮かべ、気絶していた。
意味不明の呟きを漏らしながら。黒くなったのがそんなに嬉しいのだろうか。
「動きたくても動けないって……ん?何か忘れてるような…………」

――――ざざーん…………

その頃、海の上。
『契約者よ、マナをよこせ』
ちょっぴり錆び付いた『求め』が白い旗を靡かせたまま海原を漂っていた。