あの人をずっと見ていた… 
最初は不安だった。自分は選ばれるのか… 
最初は恐かった。この想いに応えてくれるのか… 
そして知らなかった。愛する人と共に歩けるのがどんな幸せかを… 
光のない暗闇の中に私はいる。 
〈何を夢を見ている〉 
何かが私に問い掛ける。 
〈あの男を永遠の闘いに引きずりこんだのは誰だ?〉 
「それは…」 
〈あの男が望んだと?〉 
「私は…」 
答えられない。 
引きずり込んだのは私。 
そして、私は知っている、彼が戦いを望んでいるわけじゃない事を… 
〈お前が望んだのだろう?あの男を傍に置きたいと〉 
グサッと胸に突き刺さる。 
「違う!私はそんな事!そんな事…」 
それ以上は言わないで…いや聞きたくない… 
〈お前の我儘があの男の幸せを奪った〉 
「あっ…ぐぅ・・・」 
あったはずの彼の普通の幸せ… 
奪ったのは私… 
「時深!おい時深!しっかりしろ!」 
「はっ!?」 
名前を呼ばれて目が覚めた。 
嫌な夢を見た。 
「ユウトさん…」 
自然と声の主から顔を背けてしまう。 
嫌悪感で体が震えている、自分の醜さに、罪に。 
「あっ…だめ・・・」 
抱き締められる、そんな資格なんてないのに… 
体が自然と逃げようとする。 
「後悔なんかしてないさ、みんなを、時深を守れる力を手に入れた。自分の意志でな。」 
彼は気が付いていた、普段は鈍感なくせにこうゆう時は鋭い。 
自然と涙が溢れる。 
ダメ、、、耐えられない。 
「俺は今、時深と一緒に居られて幸せだ。」 
泣いた、彼の胸の中で大声で。 
もう考えるのはよそう、悠人さんがそう言ってくれるなら… 
そして、私はすべてを捧げよう、悠人さんが幸せになれるように。