「…本当にどうするんですか?」
そっと時深が囁く。ただし、それはものすごく低い声だった。
「そんな事言われても…」
そう言いながら悠人が視線を向けた先には全焼した神木神社がある。
「ネリーが消すのが下手なのがいけないんだー!」
「オルファが火をつけたのがいけないんだからね~っ!」
「ネリー、やめようよぉ・・・」
「ニムには関係ないし」
「ニムったらもう…」
隣ではすすだらけになった年少組みが喧嘩をしている、
どうやらヘリオンは火事に怯えて気絶してしまったようだ。
「エスペリアしっかりして!」
「ハリオン、早く回復を!!」
「はぃ~、あーすぶれいやぁ~」
「現状ではリヴァイブの方が適切だと考えられます。」
後方では必死にエスペリアの救助が行われている。
彼女は火事の原因のロケット花火が直撃しただけだったはずだが。
「どうするんです?」
時深がまた聞いてきた。本当は神剣の力ですぐ元の状態に戻せるのだが
それをあえて言わないで聞いてきている。
どうやらすでに閉じてしまった門の事も含めて嫌がらせをしているようだ。
「本当にどうしようか・・・」
すでに逃げた友人達の事を思い出しながら悠人は空を見る。
この先しばらくはスピリット達を養わなければならない事に
まだ気づいてはいなかった。
「ああ、星が綺麗だ」
悠人はただひたすら現実逃避するしか無いのだった…
「わたし、忘れられてるよお兄ちゃん…」