秩序の壁

注:これはテムオリンが聖賢を「忌々しい」と言っている理由の推察と妄想の、あくまでフィクションです。

聖ヨト暦332年ホーコの月黒ひとつの日

ソーンリーム遺跡の最深部。闇から滲み出るように、テムオリンは低く呟いた。
「その剣…………『聖賢』ですわね。忌々しいものを」
若きエターナルがだらりと下げているそれを、さも不愉快そうに憎しみの眼差しで睨みつけながら。


――時を遡る事2周期前。(推定)

「……では、どうしてもわたくしの剣にはなりたくない、そう仰いますのね?」
『無論だ。うぬには我が主になる資格が……無い』
対峙する『聖賢』とコアラさま。お互いに秘められたオーラが激しくぶつかり合い、青く火花を散らす。
「どうしてですの?せめて理由をお言いなさい」
『元々我はロウ陣営には与さぬ。共に行動して得られる知識も無いだろう。だがそれよりも……』
そこで一度沈黙した『聖賢』がより一層輝き、一瞬とはいえ『秩序』を凌駕する。
何か、信念のような力強いオーラ。その迫力に初めてコアラさまはその端正な顔を歪め、口元をぎゅっと結んだ。
「く……そ、それよりも?」
しかし次の瞬間、刀身を眩く輝かせながら響いた『聖賢』は想像を遥か斜め上空へと越えすぎた発言をした。
『見た目だけ若きエターナルよ。お主には、ロリ属性に必要なある一点が欠けている』
「…………は?」
ここに来て、『聖賢』が放つオーラが最高潮に達する。青白い渦が嵐となって周囲を吹き荒れた。

しかし対するコアラさまは、ぽかんと口を開けたまま。惚けた頭にようやく意味が飲み込めてくる。
堅物だと思っていたこの剣に、そんな隠れた趣味があったとは。衝撃に、思わず訊き返してしまう。
「ど、どういう事、ですの?」
思えばコレが失敗だった。さっさと見限って立ち去れば、あんな屈辱は受けずに済んだものを。
しかし説明好きな『聖賢』はそんなコアラさまのささやかな後悔になど気づきもせずに気分良く語り出す。
『言葉遣いと言い換えてもいい。ふむ、そうだな……試しに、くーると言ってみせよ』
「ク……クール」
畳み掛けるような迫力に呆れながらも動揺して反射的に口にしてしまうコアラさま。
とたん、鼻で笑うような気配がする。
『ふん……見よ、それだけでも話にならないではないか』
「何故っ!?」
しかも、見限られた。 たかが剣ごときのロリ属性からも。 コアラさまには理由がさっぱり判らない。
『これ以上は無駄なことだ。諦めよ』
「ちょ……お待ちなさいっ!」
『聖賢』は、それ以上何も語りかけては来なかった。輝きも今は失せ、ただの剣と化している。
つまりは、興味は失せたと言わんばかりの態度。ひゅー……。だぶついた服にすきま風が冷たかった。
「くっ…………この屈辱、忘れませんわよ」
コアラさまは生まれて初めての敗北感に唇を噛み締めながら、その地を後にした。復讐を硬く心に誓って。


ひょこっと飛び出したネリーが考えに耽っていたテムオリンを現実へと引き戻す。
「へへ~ん隙ありぃっ!すべてを凍らせ、動きを止める……ネリーみたいに く ー る な女にぴったりよね♪」
――――その一言は、テムオリンを殆ど逆上させた。
全ての剣を空中に浮かべ、さざ波程度にしか感じない神剣魔法を軽く受け流す。
「生まれたてにしては、中々やりますわね……」
低く、懸命に感情を押し殺した声。だが歪む口元だけは、抑えても抑え切れない揺れるこの(ry。
「ふふふ……存分に、存分に戦いましょう…………」
そうしてうっすらと微笑むテムオリンは、意外と動機が子供(ロリ)っぽかった。よかったねよかったね(違

注:これはコアラさまがその容姿に反して意外とロリ人気が出ない理由の推察と妄想の(ry