『皆さんこんにちは。ヒミカです。今日も空はイヤになるくらい澄んでいて、目が痛くなるほどの群青色です。 
ちょっと寒暖の差が激しく、ラシード山脈から吹き下ろす乾いた風が辛いところですが、そんな中でも皆元気よ 
く走り回っています。キャンプも2クール目に入り毎日くたくたになるまで練習しているためこの原稿も目をし 
ばたたかせながら書いています。 
 野手組は審判員の方達に入ってもらって昨日からシート打撃が始まりました。それぞれがそれぞれの思惑を持っ 
て真摯に取り組んでいます。もっとも一部には問題がありまして、「今の高さだとぉ、胸が邪魔して振れません~」 
何を言ってんのこいつは! だからボールにして下さい~、ってホントに頭が痛くなります。審判の皆さん無視 
して結構ですからね。私からもきつく言っておきますから。 
 ナナルゥの球場探査はようやく終わったようです。スクーリングとか言うらしいですけど、端から端までホン 
トに丹念に調べてました。どうもそうしないと気が済まないようで。あくまでキャンプ地であって公式戦をやる 
ワケじゃないんですけどね。ちなみにヘリオンがいっつもくっついていました。散歩ではないと思うのだけど(笑) 
 今日の午前中はサイン会を行いました。全員でズラッと並んで、それぞれの前に並ぶ人の数は見事に凸凹。ハ 
ハハ(乾いた笑い)。それで意外や意外、ニムの列がすごい。当然決まり文句「面倒くさい」。もう、ちゃんと 
握手しなさいって。セリアは、ああ見えて営業スマイルがすごい。あ、私の前に並んだ人数は……聞かないで下 
さい。書いた言葉は私の座右の銘「チームのため、仲間のため。なによりファンのため」です。ワンパターンで 
すけど、これだけはこの世界に携わっている限り変わる事はありません。チームはちょっと立ち上げがごたつい 
てますけどきっと素晴らしいチームになれると思います。それで、その……だからというのはなんですけど、皆 
さん応援して下さい。。ファンの皆さんの後押しをお願いします。 
 そんなこんなで、予定していた連載が今回で満了となります。たったの三回だけでしたけど、こうやって皆さ 
んの元に、つたない言葉ながら、想いを届けられるというのはとても不思議で楽しいものです。機会があったら 
またやってみたいです。それでは皆さん開幕戦で会いましょう。あ、その前にオープン戦ですね。では、皆さん 
と私たちにマナの導きがありますように。』 
「ふぃー終わったぁー」 
愛用の万年筆を転がして、ばたりと背中から倒れ込む。こんな事が出来るのもコタツの特権だ。やっぱりコタツを持ってきて正解だったと、 
沈殿していく意識の中思った。あれ、でもこのコタツ、第二にあったのと違うような……。あ、原稿おくn……。 
「ヒミカーお茶入りましたよ~」 
器用に足で襖! を開けて、お盆を抱えて入ってきたのはハリオンだ。 
「あらあら。寝ちゃったんですね。昼間はしっかり練習してる上に、こんな仕事も抱えてたんですから仕方ありませんね~」 
コタツの天板にお盆を置いていそいそとヒミカの右手にちゃんと正座して入り込んだハリオンは、あらぬ方向へ落ちてしまいそうな万年筆の位置を直すと、 
置かれたままの原稿に目を落とした。 
「風邪ひきますよヒミカ。え~これ送らないといけないんじゃありませんか~?」 
そういいながらつらつらと黙読するハリオン…………#。 
「あらあら。ずいぶんな事書いてくれてますねえ。うふふ~」 
ハリオンは笑った。いやいつも笑顔だけれど。とにかく笑ったのだ。 
一時間後。 
「あ、やばっ!」 
微睡みから覚めたヒミカは上半身をいきなり起こした。 
「原稿、送らなくちゃ間に合わなくなる! ってあれ?」 
コタツの上にあったはずの原稿は物の見事に消え去っていた。 
「う、うそ。ちょっとどこ行ったの」 
狼狽してコタツ布団を巻き上げて数枚の紙を捜すヒミカ。その後ろで襖がスラっと開くとハリオンが入ってきた。その手にはヒミカの原稿を持っている。 
「大丈夫ですよヒミカ。私が送っておきましたから~」 
「え、そうなの助かったわハリオン。ありがとね」 
「いえ~。ヒミカ疲れてるようですから、お風呂沸いてますから、入って来たらどうですか~?」 
「うんそうね。入って寝るわ」 
「はい~」 
あくびと共に部屋を出て行くヒミカを見送るハリオン。その顔には何かをやり遂げた者特有の清々しい黒さが滲み出していた。 
翌日。 
ラキオスポーツ。 
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またやってみたいです。それでは皆さん開幕戦で会いましょう。あ、その前にオープン戦ですね。では、皆さん 
と私たちにマナの導きがありますように。 
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 左写真は、全てを書き終えて、ちょっとコタツでおねむなヒミカ選手の近影。提供者はHさん。 
  
「//////ちょ。ちょ、ちょちょちょっとなによこれぇっ!! ハリオン!! ハリオンどこにいんの!! ハリオンッッ!!!」 
ヒミカ選手お疲れ様でした。最後にヒミカ選手からプレゼント。ヒミカ選手のサイン色紙三枚と、ハリオン選手ナナルゥ選手のを二枚づつ。 
計7枚を皆さんに抽選でお届けします。ハガキに三人への応援メッセージを書いて以下の宛先までお送り下さい。締め切りは...