セリアの初夢

「ふ……も、やぁぁ……」
「ほらネリー、大人しくしてなさい」
「んん!……で、でもぉ……あんっ!」
いやいやをしてはいるが、本当には嫌がってはいない。
その証拠に、薄っすらと桜色に染まった肌はときおりぷるぷると震え、
その度にだらしなく開きっぱなしの口元からは悦びの証でもある銀色の涎が吐息と共につつーと伝い落ちている。
「フフ……可愛いわね。ん……ふぅ」
「ひゃうっ! み、耳はダメなのぉ……あ、あ、ああぅ……はぁはぁはぁ……」
ゆっくりと舐め上げ、最後にふっと軽く息を吹き込む。敏感になっている身体には、それだけでもかなりの刺激な筈。
案の定ネリーは慌てて耳を押さえ、うるうると大粒の涙を浮かべながら訴えかけるように上目遣いでこちらを見た。
その怯えるような蒼い瞳に、ぞくぞくと背筋が震える。当然この程度で終わらせる気は無い。ぺろっと舌なめずりをして告げた。
「だめよ、これはお仕置きなんだから。私に内緒でマロリガンの新参者と旅に出ようとなんかするからこうなるのよ」
「ご、ごめんなひゃいぃ~。で、でもあれはヘリオンが勝手に……」
「言い訳はいいの。それにそんな事言ってもココは――――」
不意打ち気味に水玉模様の下着の中に手を入れ、洪水になって広がっている膨らみの溝を指先で優しくなぞり上げる。
「はぁんっ!!! ……あ゛、あ゛、あ゛、…………」
「―――――正直ね。ほら、こっちも寂しがっているみたいよ」
ささやかに波打つ幼い胸の頂上で既につんと尖っている桜色の突起を口に含め、転がすように舌で舐め上げついでに甘噛み。
「はう、はう、ゆ、許してセリアぁ……もう息が……ごめんなさい……ごめんなさいぃ~……ああぅっ!!」
同時に秘部の包皮に隠れた蕾の芯をそっと剥き、痛みにならない程度に、しかし最大限の快楽を与える加減で軽くノック。
「…………はぁっ! あ、もうダメ、もうダメ、許して許して、ん゛、ん゛、んんん~~……あ、あぁぁぁぁっっっ!!!」
瞬間、堪え切れず、仰け反るように白い顎を晒してネリーは硬直し、全身を弓のように撓らせたままぴくんぴくんと痙攣した。
手先に伝わる、どろっとした粘液質の熱い液体。掬い取って、ぺろっと舌を付ける。ネリーの味と匂いがした。

「ぁ…………は……ぁ……ぁ……ぁ…………あふぅ…………はぁはぁ…………ふわぁ…………あぁ…………」
枕に顔を押し付け、ぐったりと脱力しながら時折ぴくっと震える細い肩。綺麗に浮かび上がった肩甲骨に思わず笑みが零れる。
汗に塗れた小さなお尻、大人しい背中。散らばったポニーテールの蒼い髪を見ながら嗜めるように耳元で囁きかけた。
「もぅだめじゃない。イっちゃったら、お仕置きにならないでしょう? さ、次はシアーね、呼んできてちょうだい」
「ん…………くーるぅ…………」
しかし未だ陶然となったまま恍惚に酔っている虚ろな瞳からは、返事が返ってくる事は無かった。

がばっ。
跳ね上がるように飛び起きると、そこはいつもの自分の部屋。眩しい朝日に、思わず目を細める。
蒸れたような空気が全身に貼り付いているようだった。激しく波打つ動悸。前髪を掻き分けながら額の汗を拭う。
「…………予知夢?」
知らず口元からこぼれる意味不明の言動。混乱した頭で、反射的に背中に手をまわしていた。

「……なんだ、ちゃんとあるじゃない……って私、何を言っているんだろう」
指先に確認できた長い後ろ髪にほっとしながら、先程の夢を振り返ってみる。そしてすぐにかぶりを振った。
冷静に。今の状況を思い出すのよ。今日は……ええと、聖ヨト歴332年ルカモの月アネース(青)ふたつの日。
私はラキオススピリット隊の一戦士。そう、今そのラキオスは帝国との会戦に向け、着々と準備を整えている真っ最中。
旅に出ている余裕など無い。大体、マロリガンの新参者って誰だろう。コウイン様などという事は死んでも有り得ないけど。
「……馬鹿馬鹿しい。夢の中とはいえ、我ながら何を考えているのやら」
正常な判断が出来た事に多少気分が良くなり、心臓の鼓動も落ち着いてくる。
年が変わって初めて見た夢があんなのなんてね、などと苦笑する余裕も出てきた。

うん、夢は夢。あの“お仕置き”が隠れた願望なのだろうかと多少は気になるが、どうせすぐに忘れるだろう。
ネリーに会った時に、思い出さないようにしないと。変に意識したりすると、あの娘意外と勘がいいし。
胸に手を当て、大きく一度深呼吸。朝の冷たい空気を吸い込み、頭をすっきりとさせる。
さて、そろそろ起きなきゃね。朝食の準備をしているハリオンをあまり待たせても悪いし。

りぃぃぃぃぃん…………

寝巻きのホックに手を伸ばしかけた所で、響く『熱病』の声。立てかけていた剣が淡く輝いている。
あら、今日はなんだか機嫌が良いみたい。珍しいわね、高揚した気配が伝わってくるわ。
どうしたのかしら。まるで大量のマナを与えられた直後のような。変ね、暫く戦いも無かった筈なのに。

…………ん? 何、このシーツの盛り上がり。ちょっとやだ、何か動いて……ってえ、え? 待って、誰かいるの?――――