エス式ダイエット法:とあるエトランジェの決心

ギシッギシッ。
やや音が軋む廊下を、俺はあくびをかみ殺しながら歩いていた。
時刻はちょうどお昼。今日の午前中は戦略会議だけだったため肉体的には大して疲れてないけど、
やっぱり腹は減る。
昼餉のおさんどんはオルファと佳織なので俺は用無し。いつもの通りだけど、なんとなく佳織と小鳥にも
同じ扱いを受けてたのを思い出して少し苦笑する。

第一詰所一階の廊下を奥へと向かっていく。奥にあるのはエスペリアの部屋。
エスペリアを呼びに使わされたのが暇な俺というわけだ。
ドアの前に着いた。
先ほどオルファに「もしかしたらエスペリアお姉ちゃんお昼寝中かも~」と言われていたので、
なんとなく息を潜めてしまう。呼びに来たのだから寝ていたとしても起こさなくては……。

(ギシ)

うん?

(んっ ふ あふっ)

な、なんか、吐息というか……。

(ギシ も う       ああ   んっ  はっ  ギシ    ) 

これエ、エスペリアの部屋からだよな……。まさか……な。

(もう  だめっ   もう  ギシ   すこし でいく ユ   ユートさま!    )

な、なななななななエ、エ、エス……ま、待て俺。落ち着け俺。
スゥ――ハァ

これはそのなんだそ、そういうこと……だよな。いや、まさかエスペリアがこんな昼間から……
違う! というかそのエスペリアだってお、女の子なんだよ……う、ん。俺にあんなことしてくれたりしたけど、
そのさえーとエスペリア俺のことを、その…………だよな。俺がへたれだからハッキリしないから苦労掛けちゃうんだよな。
今度は……俺の方がイニシアチブを取らなくては……! 
…………とはいえ、どうすりゃいいんだ? 助言を誰か……アセリア? 駄目だ。今日子? うーん口が軽いような……。
セリア? ……うん、ここはセリアに聞こう。エスペリアとは古いはずだし。最近少しは俺ともくだけてきてくれたし。
適切な助言をくれるだろう多分。なら膳は急げ。
セリアは確か非番のはずだ。俺はドアの前からゆっくり後ずさると第二詰所へ向かって軽く駆けだした。

「ふぅ……腹筋50回3セット終わりです。ベッドに脚をかけると楽に出来ますね、。ギシギシうるさいですけど」
あなたも楽々エクササイズ、と書かれた今日子持ち込みのハイペリア雑誌を眺めつつ汗を拭き取るエスペリア。
字は読めずとも、写真を見ればやり方は理解できる。次はおしりを引き締める運動だ。
「待っていてくださいませユートさま。本当のわたくしが完成される日も間近です」
仰向けになり、おしりを持ち上げる運動をしながらお昼を忘れて運動を続けるエスペリアであった。


結局佳織が呼びに来た。