花のセリア

宿敵サルドバルドを制し、北方五国の主となったラキオス王との謁見に臨むセリア。
しかし、ここで己の信念を重んじツンデレを通せば死を与えられるは必定。
負け戦を勝ってこそ真のいくさ人と信じるセリアの行方はいかに!?

「セリア・ブルースピリット殿、お目見えに参上なされました!」
(さーて、何が出てくるやら)

現れたのはポニーテールを思い切り片寄せたセリアであった。
そのためか、まるで顔が引きつったような錯覚を起こさせていた。

(ん?)
(思ったほどではないな。 当代一のツンデレと聞いていたが、これでは姿形のこけ脅しではないか)

そんな王や重鎮達の胸中を知ってか知らずか、セリアは挨拶も礼もせずそのままずかずかと歩き始めた。

「貴様、王の御前であるぞ!」

激昂する重鎮には目もくれず、そのまま王の前まで突き進んだセリアはそこで動きを止める。
そして、頭だけを真横に向けるとそのまま無言で平伏した。

「「「「!!!!?」」」」

この時、初めて全員がこのポニテの意味を理解した。
見事なまでのツンぶりだった。
確かにポニテは王に正対している。
頭を見る限り、セリアは王に平伏して見えるのである。
だが、顔は横を向いている。
つまり、セリアは王に頭を下げることを平然と拒否したのだ!

続かない。