とある晴れた休日。
ニムントールは姉のファーレーンから言付けされて、面倒くさいを27回言った辺りで目的地の第一詰所へ着いたところ。
芝生の庭は天高い太陽に照らされていて、ヒラヒラと風に揺れる洗濯物が白く輝いている。
玄関へ向かう敷石の上。
右手には緑の芝生。
チラリと目を走らせる。
そこにはあるのは白いシーツの波。
そして一カ所だけ見え隠れする太陽光を吸収する色。
キョロキョロと周りを見渡して……。
「ユート……おっきぃ」
いっぱいの日を浴びて既に乾いているのは、ニムントールの小さな体をすっぽりと包み込んだ紺色のブレザー。
ぶかぶかで、暖ったか。
指先すら出せない。膝まで隠れそう。
「……ムカツク」
言葉とは逆。にへらっと、顔がくずれる。
クンクン。
ユートと太陽の匂い。
にへらっ。
くるくると回ってみたり。
にへらっ
セルフでぎゅっとしてみたり。
…………
……
――――で…… だからクォ いれちが エス ア
……ビクン!!
驚いて飛び上がった猫のように近づく声を認識したとたん、ブレザーを物干し竿に乱暴に掛け物陰へまっしぐら。
…………
……
「あら? コウインさまの上着が」
「あ、風でも吹いたのでしょうか……申し訳ありませんコウインさま」
「ああ、いいってことよ。しかしなんで俺とユートの洗濯物がすっかり入れ替わっちまったんだろうな」
「ええ、本当に不思議です。あら、この靴下はユートさまの?」
とっさのことに乱雑に引っかけられたブレザーは下に落ちて、その傍には袋に入ったユートの靴下。
これこそがニムントールがファーレーンより言付かった物だったりする……。ニムントールは中身を知らない。
…………
……
ニム【ぐぅぅぅぅ…ぅぇぇぇぇ……ニ、ニムはコーインは苦手ぇぇぇぇーーーーーーーーー】orz
おぞましくもニムントールの体を包み込んだ温もりに鳥肌を立てつつ芝生に全身を擦りつけ絶賛悶絶中の物陰を見詰める
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ|
|とl)
そのころの第二詰所
「スゥ……ハァ。ああ覆面に残ったユートさまの靴下の残り香。もう胸がいっぱいです」