昔から続けていたことを今日もしようと思う。 
館を出て、いつも歩いている道を通りいつもの場所へ。 
……、後方から気配が…三、いや四。敵意はなし、ならいいだろうと判断。そのまま数分歩き目的地に。森の中、多少開けた場所 
……後方に気配、ついてきている?問題はないと再認識、そんなことより目的を果たそう。 
地面を物色、そして最適と思われるものを発見。それを採りいつもと同じ地点へ移動。木に寄り掛かる、これが一番楽な姿勢である。さて今日も――― 
………………………♪ 
流れだす音。それを聞いていると不思議な気分になってくる。 
草笛。これはそう呼ばれるらしい。 
不意に先刻の気配達が動きだした、こちらに向かってくるようだ。 
ネリー、シアーにハリオンそれとユート様。 
用件を聞くために演奏を中断する 
……夜中に部屋を出るのは不審なことなのですね。 
趣味、楽しみとして思う事柄。これは趣味といっていいのだろうか? 
……楽しいからしてるんじゃないの、と聞かれても。楽しい、がわからない。 
なんでこれを続けるのだろう。不思議な気分になるから?なんとなく?的確な言葉は思いつかないので、意味はないと応える。 
できれば皆の前でも吹いてくれないか、とのこと。 
意図はわからないが、別段不都合はないので、了承。 
それと、とユート様は続ける。佳織が帰ってきたら一緒に演奏してくれないかな。 
どんな人か、曲は、合わせられるか。いろいろ不安はあるが不都合はないのでこれも了承する。 
その返事を聞いた後、ユート様は満足したらしい。先に戻ると言いこちらはどうかと聞いてきた。 
まだ戻る気にはならずもう少しここにいることに決めた。その旨を伝えて、後ろ姿を見送る。 
一人になり、いつもと違う今日について考える。 
途中までは同じ、草を採り吹きはじめる。そこへユート様達がきて止めてしまった。 
しかし、いつもより安らかな気持ちになっているのを感じる。理由はやっぱりわからない。 
ついでに幾分涼しくなったとも感じる。疾く帰らなくては 
帰り道。明日からは少し早い時間に出なければと思い、微笑 
       おしまい