「ねーコーインさま。ユートさまの名前ってどう書くの?」 
「カンジってのでお願い~」 
「お、お教えてください!」 
エトランジェ光陰が少女達に囲まれている。 
一体どんな裏技を使ったのか、詰所始まって以来の事態にピンク色マナ満載状態の光陰はウハウハ入れ食い状態かというとさに非ず。 
「……しょうがねえなぁ、本当によう」 
笑顔だけは顔に張り付いているけれども、諦観と失意が入り交じったその心の内は黒々と煮えたぎる法界悋気。 
いわゆるバレンタイン・カードを幾枚も差し出された吹きっさらしの百年の孤独。 
そんな男が、ついこんな答えを、悪魔に魅入られた答えを返してしまっても誰も責めることは出来ないだろう。 
「うーーんとね、悠人の奴は、こんな字を書くんだよ。『高嶺 遊人』ってね――――」 
「ねーユートさま。コーインさまの名前ってどう書くの?」 
「カンジってのでお願い~」 
「ユ、ユートさまお願いします!」 
エトランジェ悠人が少女達に囲まれている。 
まあ正直言っていつもの光景だが、悠人は笑顔でみんなの願いを受け入れて、 
「へー光陰の奴にもチョコあげるのか。アイツ馬鹿みたいに喜ぶぞ」 
バレンタインカードを胸に抱えた少女達に相好を崩す。 
「うん。けっこー世話になってるもんね」 
「なってる~」 
「え、えと。いろいろ誤解されやすいお方ですけどぉ、や、やっぱりその気持ちよい仲を築きたいですしっ」 
「そっか。えーとな……漢字書くの久々だからな……『碧 光陰』だな――――」 
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