午睡

 椅子に腰掛け、机にぺたりと身を伏せて。
 堅い食卓も夢の中ではふかふかの枕。
 使い込まれてもまだ鼻腔をくすぐる木の香りが、大樹に抱かれる幻を見せる。
 窓越しに注ぐ初夏の日差しはゆらゆらと、ふくよかな頬にかかる髪はさらさらと、穏やかな寝息を立てる横顔をやわらかに彩る。


 どたばたと、天井。
 ニムっていうなああユート様申し訳ありませんニムユート様に失礼でしょう。
 わずかに響いてくる声も聞こえない。


 少し開いた小さなくちびる、ちろりと覗く朱い舌。
 残る甘さに満悦の笑み、ひとつ身じろぎ背を丸める。
 目蓋を透す光はゆらめく波の煌き。
 この世にこれほどの幸せがあるのかと、眠りの海にたゆたう。

 午睡。
 遠からぬ緑の影。
 せめて破られるその時までは、至福の中に。