よろづのことに使いけり

――今は昔、ソソ取の翁といふものありけり

「ふぅ、いつ来ても心が落ち着く場所でありますな。
風にざわめくソソの葉の波模様。強く、なれど折れぬ真っ直ぐさ。手前の未熟な心根を正してくれるような……」

――野山にまじりてソソを取りつつ

「さて、こうしてばかりも居られませぬ。手前の生業(なりわい)を果たさねば、家で待つ皆を養えませぬ。
しかし、戦いばかりで口を糊していた頃に比べればなんと心落ち着くことか……」

――そのソソの中に、もと光るソソなむ一筋ありける

「こ、これは、なんと面妖なっ!? 黄金に輝くソソとはこれぞまさしく森羅万象を統べると言われるマナソソかっ!
ここで会ったが天の配剤。何としても持ち帰らねば。『冥加』よ頼む、手前の心を乗せ……断ち切れっ!」

――それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。

「ふ、手前を阻む者は消え去るが必定。貴公に回避する術など無い」

「お、お姉ちゃーんっっ!!」 がたん、バタバタ。
「ちょ、ウルカ!! なんで思いっ切り斬ってんのよっっ?」 どたどた。
「ヘリオン! 幕だっ幕下ろせ!!」
「は、はいっ」
「何で『冥加』を? ソソ光じゃなかったの!? ハリオンはやく行ってっ!!」
「はいはい~マナの霧がスポットライトで綺麗ですねえ~」 ぱたぱた。

「こうして、ソソ取の翁――後の初代聖ヨト王は、万能の力「マナ」を手に入れたのでした。了」
「ナイスナレーションナナルゥ!!」
「そうか?」


第三回ラキオススピリット隊親善演劇公演 主役負傷のため中止。