相生

あとがき

幾度か挑戦し、その都度挫折し、そしてやっと気づきました。
ウルカルートでは、そして勿論その他のルートでも、妖精部隊を救う事は難しい、と。
ウルカや悠人がどれ程頑張ってもグリーンスピリット1人救えないのですから、当然といえば当然ですが。
で、もっと大勢の、例えば年齢的に比較的精神の成長が速い(と見込める)年少組が、もう少しだけ早く、
そしてほんの少しでもいいから、足並み揃えて生命の大切さというものにちょっと慎重になってくれていたら。
それに引き摺られる形でもいいから、ラキオススピリット隊全体の意識として、世界全体で捉えてくれたなら。
集団の意識として、敵に対してさえも心のどこかに余裕のようなものが芽生えていたならば。そんな妄想が、スタート地点でした。

一応ウルカルートのお話ですので、リレルラエルに到達してからではご存知の通り間に合わず、
たらればが許されるのがSSのそもそもの存在理由(大げさ)だと自己弁護を試みつつ、
その尺度を大きく外れない程度にソーマの出現を法皇の壁攻略時期に修正してみました。
次に、まずはネリーが動かないと動かないシアー、素直すぎる性格で言葉を字義通りに受け取ってしまうヘリオン、
問答無用で動かないニムントール。この3人にそれぞれ動機付けを行い、その前提としてネリーとオルファリルが動く展開に。
すると彼女ら5人がそれぞれ抱えているスピリットとしての命題を多少なりとも解きほぐす過程で学ぶであろう何かが
部隊全体へのささいな影響力へとなるその為の補助役として、当の部隊の面子までもが全員必要となってしまっていました。

こうなるとひたすら逆算を繰り返すのみでして、既に構築している意志に忠実な者、微妙に変化する者、
影響を受けて変わる者、影響を受けて能動的に変わろうとする者、それぞれが5人を中心にして回りだし、
後は勝手に動き出す個々を設定通り、映画の巻き戻しのように再現していく作業が終わった時にこのお話と相成りました。

軍隊戦術の描写とはやや異なりますが、戦闘地域に於ける各部隊の動向と相互影響や進捗の描写等は某幕末小説の大家に
その手法を学び(当然だだ甘な自己流ですが)、最初から配置図や彼我戦力、天候、地形、時間経過による動向や影響等を素人なりに用意してみました。
特に重点を置いてみたのは忘れがちな時間経過の影響ですが、それでもやはり素人ですので、どこかしら穴はあるかもしれません。
ただの戦闘詳報に終わってしまえばそれまでですし、そもそも年端もいかない少女が戦闘に赴く際、壊れた精神の負債は
一体誰が支払うのか、というような根本的な問題にも敢えて触れてはいませんが、せめて命とひとつまみの心だけは。そんな感じです。

今回もですが、連載途中で沢山の御支援を受けました。改めて、感謝を。
そして相変わらずの稚拙な文章にお付き合い頂き、本当に有難うございます。
スレに、そして皆様に、マナの導きがありますように。
誤字脱字ハリオンマジック等、御指摘があれば幸いです。それでは。