代償

Intermisson-2

後ろ手に部屋のドアをぱたんと閉めると、同時に目が熱くなった。
やっと自分の部屋に戻ってきた。お腹も空いてるけど、それどころじゃない。
がんばったけど、もう限界。もう、がまんできないよ………………

ネリーはベッドの中に飛び込んでいた。枕に強く顔を押し付ける。嗚咽が小さな体を震わせた。
昼間、シアーから事の顛末を聞いた。聞いていて、震えが止まらなかった。
どうしてそんな大事な時に自分は側にいなかったのだろう。
あやうく神剣に飲まれそうになっていたユート。ひょっとしたらそのままもう戻って来なかったかもしれない。
さっき、帰り道もそう思うと泣きそうでユートの顔を見れなかった。
それに、味方を探している間、あろうことかシアーのことがすっかり自分の中から抜け落ちていた。
自分がシアーのことを忘れるなんて…………
ネリーは自分自身を抱き締めながら、ベッドの上で暫く震え続けていた。