はぁっ、はぁっ、はぁっ………………
暗闇の中、少女が怯えている。抱え込んだ膝の震えを両手で必死に抑えている。
はぁっ、はぁっ、はぁっ………………
息遣いがやけに大きく響く。全身を駆け巡る心臓の鼓動。噛合わない、奥歯。
はぁっ、はぁっ、はぁっ………………
緊張は既に、少女の神経を限界まで追い詰めている。このままでは焼ききれてしまうだろう。
その肩にそっと手を添えてみる。ひっと小さく息を飲む気配。もう大丈夫。私が、守るから。
――――――振り向く瞳。そこに浮かぶのは、ただ、「恐怖」。
少しだけ昔の、大切な出会い。大事な記憶。