安息

Proposition-1

はぁっ、はぁっ、はぁっ………………

暗闇の中、少女が怯えている。抱え込んだ膝の震えを両手で必死に抑えている。

はぁっ、はぁっ、はぁっ………………

息遣いがやけに大きく響く。全身を駆け巡る心臓の鼓動。噛合わない、奥歯。

はぁっ、はぁっ、はぁっ………………

緊張は既に、少女の神経を限界まで追い詰めている。このままでは焼ききれてしまうだろう。
その肩にそっと手を添えてみる。ひっと小さく息を飲む気配。もう大丈夫。私が、守るから。


 ――――――振り向く瞳。そこに浮かぶのは、ただ、「恐怖」。


少しだけ昔の、大切な出会い。大事な記憶。