安息

Finite Intersection Property-3

金色が褐色に塗り替えられようとしていた時。
黒い妖精は確かに動いた。
反射して光る神剣は確かにこちらを向いていて。
だけど私は動けなかった。
それはあまりにもその光景が幻想的だったから。
それが現実だとは思えなかったから。
…………失ったものが大きすぎたから。
けれども妖精は動かなかった。
いつまでもいつまでも動かなかった。
だから気付かなかった。
いつの間にか妖精の姿が消えていた事を。
だから私はいつまでも眺めていた。その幻想的な光景を。

フェードしていく光景は悲しみと衝撃と処理しきれない情報量と反比例する心の弱さと。
今はまだ、準備が出来てない精神の防御。そして封印。