いつの間にか包囲されている事に気付く。
灼けるように熱い肩は動かない。
なのに雨に打たれた体は悪寒を訴え。
醒めなければならない思考だけがせわしなく頭の中を巡る。
守るべきモノはたった一人。
倒すべきモノは…………あまり数えたくありませんね。たくさん。
我ながら無茶ですねと思うのと、草むらから飛び出た影に反撃したのは同時だった。
片腕だけで殴りつけたソレはやはり致命傷では無かったらしく、再び草むらで息を潜めつつこちらを窺っている。
囲まれた輪がじりじりと狭まる。
後ろにある大木を背にして防ごうかとも思ったが、ちょっと考えてやめた。
それではこの愚行の意味が無くなるから。
ホント、愚行ですね………………
大木の下から少し離れた。初めて試すのだから、巻き込まないよう。震えている彼女をチラッと見て、
――――――私は、ワタシとお別れした。