安息

Proposition-3

雨の中、周囲の気配が一瞬にして消える。
それは閃光と雷鳴の嵐の後。
自分にも、それが神剣魔法の中でも最大のモノだと判る。
そして、それがどれだけの負担をそのココロに与えるのか、も。
だから自分は今まで神剣を振るうのを嫌ってきたのだから。
自分が自身ではなくなる恐怖。それに打ち克つ程のココロが無かったから。

だから、判ってしまった。
この人は、守ってくれた。
その代償として失う「自身」を顧みもせず。
私のココロを守ってくれた。
たったそれだけの事が。
恐怖で身を竦ませていた自分には判らなかったのだ、ということが。


いつしか躯の震えは無くなり。
私はその人に駆け寄っていた。
傍らに投げ出していた神剣、『大樹』を手に取って。