安息

Lemma-4

「やれやれ……朝はバタバタしちまうな。」
「アンタのせいでしょ~が!」
「イテッ!!」
「まったく佳織ちゃんも、こんな兄貴だと苦労するでしょ。」
「うむ、まったくだ…………」

 ……………………………………

「おっほら……その凶暴性が針金頭によく現れている。」
「うんうん。」
「だぁーれが針金頭だぁぅ!無礼なことを言うのは……この口かぁ~~~~!!!」
「はぐぁっ!」

 …………………………

「そうだよな。俺も今日子もバカじゃないよな。」
「悠もバカじゃないもんね、バカじゃ。」
「ははは。」
「アハハハ。」
「……ふぅ、お前たちは本当にバカだわ。」

 ………………

静かに目を開ける。意識の深層にほんの少しだけ齧りついている宿主の心。
まだ残っていたその温かさが、不快だった。

「『求め』…………早く来い…………」

ゆっくりと立ち上がる『空虚』はミエーユを睨んで呟いていた。