安息

Diagonal Elements-4

ニーハスでウルカに敗れたクォーリンは、とぼとぼと砂漠を歩いていた。
「…………痛っ!」
ウルカに庇われた時にそれでも負ったのだろう右肩の傷が急に痛み出す。この様子では恐らく折れているだろう。
「うっ………………うう………………」
想いを断ち切って挑んだ戦いにも敗れて傷ついた。今の自分はもはや戦いに措いても光陰の役に立たない。
嗚咽を抑えるように小さな胸をぎゅっと抑える。
『大地の祈り』を使えば肩の傷などすぐ治る。しかしクォーリンは、今更それをする気は無かった。
涙が出るのは決して傷のせいではなかったから。心が痛いだけだから。
『自らの声』。ウルカの言葉が心の中で反芻される。自分の、心の声。今、私は何を感じているのだろう?
しゃくり上げながら自問自答してみる。
とたん、何故今まで気付かなかったのかと思えるほどすぐそこにあった溢れ出る『想い』。

…………痛い…………寂しい…………辛い…………哀しい…………

……………………『会いたい、よ』………………………………コウインさま…………

ミエーユの方角から二つの巨大なオーラの衝突を感じた。
クォーリンは自分がなにをしたいのかまだよく判らないまま、ぐすぐすと泣きながらそちらに向けて歩き出した。