安息

Lemma-5

帝国で『マナ消滅』が起こったあの日。
研究所の大半が消し飛んだその日以来、探し続けてきた。

スピリットを自決させてマナ結晶を作り出す。
マナ結晶を利用してスピリットの力を最大限以上に引き出す。
そんな、人としてやるべきではない事を行おうとする奴らを。
それを指示したのが何者なのかを。
そして、気付いてしまった。
帝国を動かしているのは「人」ではない、という事に。

だから、帝国を去った。
ヨーティアを、そして……イオを残して。

世界は所謂『運命』に支配されている。
なぞるように繰り返す歴史の不自然さ。
確率では望めない結果としての「なんとなく」。
そんな不安定なモノが『神』と呼ばれるモノならば。
俺は、『神』と戦う。俺の意志を、俺だけのものにする為に。

傍らの『禍根』を手にとる。
意志を持たないその神剣は、目の前の巨大なマナ結晶と共鳴して静かに光っていた。