安息

A Posteriori

焦る心を抑えながら、友達の気配を追う。
徐々に近づいて来る焦げる様な異臭。
辺りにはぶすぶすと煙が立ち込める木々。
……マナに変わろうとしている「ケシズミ」。


大量の死の中央に立ち尽くす少女を見止める。
影が動いた。
咄嗟に『赤光』を握り締め、ゆっくりと近づく。
警戒はしかし、無意味だった。
友達の瞳には何も映っていなかったから。
傷だらけのその躯を、ただ雨に晒しているだけだったから。


その足元には泣きじゃくる少女。
謝りながら、必死にハイロゥを展開していた。
美しい、それでいて力強い緑色のヴェールを周囲に解き放って。


 ―――――――雨が上がるまで、ヒミカは呆然とその光景を眺めていた。

 それは、もう昔の話………………

               ―― 安息 Fin ――