ハイペリア式告白法

中編

そんなこんなで私はヘリオンと一緒にハリオンの所に相談に来た。
「・・・と、言うわけなのよ。」
ハリオンに一通りバレンタインについて説明をする。
「はぁ~ハイペリアには~素敵なイベントが~あるんですね~。」
「それでこれがチョコレートっていうお菓子なんですけど・・・」
ヘリオンがチョコレートをテーブルの上に取り出す。
「なんだか~不思議な~形ですね~。」
袋からチョコを取り出したハリオンが興味深げに眺める。
「あぁ、それは溶けた後また固まったからね。チョコってすぐ溶けちゃうのよね。
まぁきちんと包装されてたし大丈夫よ、多少風味は落ちてるだろうけどね。」
マロリガンは暑いからね~
きちんと包装されてなかったらポケットの中どろどろだったわね。
「なるほど~ではでは~いただきますね~」
ハリオンがチョコを口に入れる。
「ぱくぱくぱく、もぐもぐもぐ・・・ごっくん」
「で、どうかな?作れそう?」
食べ終わったハリオンに早速尋ねてみる。
「はい~大丈夫ですよ~似たようなお菓子はこの世界にもありますよ~」
「え、本当?いや、まさかこんなにうまくいくとは思わなかったわ。」
ワッフル似のヨフアルなんかもあるし結構同じものあるのね・・・
「まぁ原材料の捜索なんてしたら無駄に話伸びちゃいますからね・・・」
なんかヘリオンがどこぞから妙な電波を受信している。

「ま、それはさておき・・・じゃあ、すぐにでも作れるのかな?」
「そうですね~街に買いに行かないと~いけない物も~ありますけど~
あ、そういえば~手作りっていうのは~一から作るんですか~」
「そうねぇ・・・市販のチョコを買ってきて、
それを溶かして型に入れるだけよ基本的に。」
カカオ豆から作ったりはしないわよね・・・てゆーか、カカオ豆って売ってるの?
「それは~お手軽で~いいですね~」
「ほっ・・・それぐらいなら私でも作れそうです・・・」
「あ、そうそう型はこんな形がいいんだけど・・・」
そう言いながら紙にハート型を書いてみせる。
「この形には~なにか~意味があるんですか~」
どうやらこっちの世界にハート型はないらしい。
「えーとね、この場合は好きですってことかな。」
間違ってはないわよね?やっぱり本命といえばハート型よね。
「型は~新しく用意しないといけませんね~あてはあるので~平気ですけど~
それでは~準備もありますので~3日後にまた集合ということで~」
「うん、わかったわ。・・・あ、悠と光陰には内緒よ?
こういうのはインパクトが大事なの。渡す前にバレたら効果半減だし。」
「はい~任せてください~」
よし、あとはハリオンに任せよう、私こっちの食材とかわかんないし。
「じゃヘリオン訓練行くわよー。ずっとアホ剣に操られてたから
まだ本調子じゃないのよねー。」
「えぇ!私とキョーコ様じゃ勝負になりませんよー。」
「いいから、いいから。ハイペリア流ハリセン殺法の極意をおしえてあげるわ。」

バタン!
キョーコ様がヘリオンをひきずりながら部屋をでていく。
中々興味深い話を聞きました。皆にも教えないといけません。
では、バレないうちに・・・
「それで~そこの曲者さんは~どうしますか~?」
・・・・!!!バレてる!?エトランジェのキョーコ様にも気付かれなかったのに・・・
「私達も~やっぱり参加したいですよね~?」
「・・・そうですね。でもいいんでしょうか?」
一応そんなことを聞いてみる。
「いいんじゃ~ないですか~ユート様とコーイン様には内緒ですけど~
他の皆に~内緒とは言われてませんし~」
・・・まぁ、たしかに。
「あ、でも~エスペリアには~伏せておいて下さいね~
バレたら怒られちゃいますから~」
それはありえますね。この大事な時期に何浮かれてるんですか!とか。
「では、私は皆にも教えてきます。」
「はい~おもしろくなりそうですね~」

3日後。
「って、なんか皆いるし!」
準備ができたというから来てみたら何故かラキオススピリット陣全員集合。
「まぁ~こういうのは~皆でやった方が~楽しいですし~」
まぁ、それはそうかもしれないけど・・・
「抜け駆けは駄目なんだからー」
「からー」
「先制攻撃は私の役目です。」
「はわわ・・・そんなつもりじゃ・・・(ありましたけど)」
「それにしても全員悠にあげるの?」
がんばれヘリオン。競争率は高そうよ?
「もちろんパパにあげるよ~。ね、アセリアお姉ちゃん?」
「ん・・・特訓の成果を見せる・・・」
「手前もユート殿には世話になっておりますゆえ。」
「まぁ、ニムはどうでもいいんだけど・・・お姉ちゃんがどうしてもって・・・」
「もう・・・ニムは素直じゃありなせんね・・・朝から張り切っていたのに・・・」
「私は・・・その義理です。義理。それ以上でもそれ以下でもないですから。」
「こっちも素直じゃないわね・・・ま、セリアらしいけど・・・」
モテモテねー。私が大変な目にあってる間に随分うまいことやってんじゃない・・・

「で、クォーリンまでいるわけね・・・」
まさか彼女も悠に一目惚れでもしたのかしらね?
「ま、負けませんから!」
「気合入ってるわねー。まぁライバル多そうだしね。」
「え?いや、私のライバルはキョーコ様だけっていうか・・・
ん?違うかな?ヘリオンさんやネリーさん達がライバルなのかしら?」
「え?なにか言った、クォーリン?」
「はぁ・・・なんでもないです・・・ハイペリアの人は女性も鈍いのでしょうか?」
えーと、これで全員かな・・・
「ん?あれ?エスペリアは?」
「エスペリアに~バレたら~怒られちゃうじゃないですか~
まぁ~作りはじめちゃえば~こっちのものです~」
「エスペリアの性格上、材料を無駄にはできないでしょう。」
はぁ・・・ハリオンにナナルゥ、あんた達いい性格してるわ。
嫌いじゃないけどね、そーゆ-悪巧みは好きなほうだし。
「ところで手前らが全員ここにいて大丈夫なのでしょうか?」
「そういえばそうね、帝国との戦争中よね今・・・」
ウルカとヒミカが当たり前といえば当たり前の疑問を口にする。
「抜かりは~ありません~最前線には~ユート様とコウイン様がいます~」
「女王の許可も得てます。エトランジェ二人なら防衛には充分かと。」

「へっくし!!!」
ケムセラウトの空にくしゃみの音が響き渡る。
「お?なんだ悠人よ、風邪か?」
「さあな・・・まぁ今朝は冷えたから風邪ひいたのかもな・・・」
エトランジェだって不死身じゃない、風邪をひくことだってある。ところで・・・
「なんで俺達二人だけで最前線にいるんだろうな?」
ケムセラウトの砦を守るのは俺と光陰のみだ。
・・・ここって帝国攻略の最重要拠点だよな?
「ふっ・・・それだけ俺達が期待されてるってことだ。
俺はネリーちゃんに、コーイン様なら安心して任せられます~って言われたしな。」
いや、お前多分いいようにあしらわれてるから・・・
あれだな、きっとまたロクでもないことが行われてる気がする。
今日子あたりが黒幕だな、多分。
「それにしても暇だな・・・」
帝国国境にそびえる法皇の壁を見ながら俺は呟いた。

「さて~それでは各自で~作ってくださいね~」
ハリオンから一通り作り方についての説明がされた。
まぁカカオ豆から作るわけじゃないし誰にでもできるわよね・・・