朔望

Eine kleine nachtmusik -Ⅰ

 §~聖ヨト暦330年ホーコの月青よっつの日~§

夜空に想いを乗せた旋律が流れている。
初めて聞く、この世界には在るはずの無い音色。
低く、高く、太く、細く。殷々と奏で続けられる深い想い。
じっと耳をすませば伝わってくるのは悲しみ、嘆き。
きゅっと苦しくなってきた胸にそっと手を当てる。
知らず、涙が零れた。
城の一角。奏者もきっと同じものを流しているのだろうと思いながら。