朔望

奏鳴 overture

 §~聖ヨト暦331年スリハの月緑ふたつの日~§

「…………ごめんなさい、こんなときに」

深く静かに湛える瞳。
さざ波のように溢れる涙が、一粒ふた粒、とめどなく零れ落ちる。
崩壊していく世界の中、その熱さだけが感じられる唯一だった。

  ――――― 奏鳴 ―――――