朔望

nocturn -Ⅳ

 §~聖ヨト暦331年スリハの月緑ふたつの日~§

代償の無い奇跡なんてない。そう、彼は言った。
確かに、その通りだった。でも、どうしてそれがこんな形で報われなければならないのか。
どうして世界はこんなにも、求める方向に『回旋』しないのか。

誰も望まない光景を、夕日が赤く染め抜いていた