朔望

nocturn -Ⅴ

 §~聖ヨト暦331年スリハの月緑ふたつの日~§


 いつも見ていた。いつも見守っていた。
 だから知っている。あの人の弱さを。あの人の苦しみを。


 いつも遠くにいた。いつも近くにいた。
 だから判っている。あの人の強さを。あの人の姿勢を。立ち向かう姿を。


 支えたいと思った。ふと祈った想い。
 支え合いたいと願った。きっと叶わない望み。


 今、自分の心がやっと判った。ずっと寄り添える心が欲しかった。
 姉でもなく、戦士でもなく……そしてスピリットでもなく。ただ単に、――女として。