寸劇をもう一度

最果ての地 ~弐~

 ファーレーンが、ヘリオンが、ヒミカが、ナナルゥが、ハリオンが、ニムントールが、セリアが、ネリーが、シアーが、神剣を同調させて行く。悠人を触媒として。やがて共振状態に入ったところで力を引き出して行く。神剣を重ねた上に黒い球が成長し、赤くなり、黄色くなり、白くなる。そして、いざ力を解き放たんとしたとき、
《違う》
皆の心に『声』が聞こえた。驚いたことに悠人にまで。
「……『赤光』?」
「たしかに……『消沈』です」
皆が口々に各自の神剣の名を呟く。だけど、皆の神剣の声というのは『求め』辺りと違ってこんなはっきりとした『声』ではなかったんじゃないのか? そもそも下位であるほど意思を持たず本能のみに近くなるんじゃなかったのか?
《共振によって我らの意識が一時的に高まっている。そして、下位と言えども意思は育つ。妖精の意思とともに》
驚きの事実。でも、何となくわかる気もする。
《そんなことよりも……狙うのは……》
皆の心に狙うべき場所が心象として示された。
「よし、この賭け、乗ろう!」
悠人の言葉に皆が肯き、そして力は解き放たれ一条の光が迸る先は、シュンでも『世界』でもなく、『再生』――
 光線が『再生』に吸い込まれ、一瞬の間。そして、より強い光が『再生』から迸り、シュンを『世界』を焼き砕く。
「ぶわ…か…な…ぁ……」
そして、『再生』に亀裂が走り砕け始め、黄金色の霧が降り注ぐ。それはどこか温かな感じで、何となく『再生』の名に相応しい。
《ありがとう……娘たちをよろしく》
そんな声を悠人は聞いた気がした。
「帰ろう……俺たちの家へ」